IT は女子中高生に不人気

IT業界と女性という話題について記事を書こうと思って早1年以上経ってしまいました。元々は、以下のネット記事を読んだ事がきっかけです。

ITやプログラミングから女子中高生が遠のく訳 | 東洋経済education×ICT | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

個人的に重要だと思ったところをいくつか引用しておきます。

17年のOECD(経済協力開発機構)の調査における大学のSTEM(理系)分野の女性割合を見てみると、工学や数学系で日本は加盟国中最下位という結果が出ている。これは将来の職業選択にも直結しており、技術者の男女比に大きな影響を与えている。

小学生の時点では、男女問わずみんながプログラミングを楽しんでいるのに、中学生以上になると、突然プログラミング関連のイベントに参加したりIT職を目指す女の子が減ってしまう現状を目の当たりにしたのです。

理数系科目やITを教える教員は圧倒的に男性が多いという事情も潜んでいるという。(中略)数学または理科の先生が男性であった場合、「理系は男の子の進路」といった無意識バイアスが生まれる可能性が高く、理系を志望する女の子が減ってしまう。

IT職に就くために必要な能力に男女差はないそうだ。さらに、IT職は非肉体労働で勤務場所の制約も少ないので、本来は、出産などのライフイベントの変化による影響を受けやすい女性に向いている仕事だという。

10代の子どもは、先生や親の影響を強く受けるので、身近な大人の無意識バイアスを整えることも必要だという。(中略)親が「プログラマー=男性」という無意識バイアスを持っていると、自分の子どもの性別によって、その学びに対する機会提供の頻度に差が生じやすい。

かつて、理系出身の女性に対して、「リケジョ」というネーミングが生まれたが、Waffleは、あえて「ITガールズ」や「テック女子」といった呼称をしない。その理由は、「女の子だから」「男の子だから」という意識によって、選択する職種や自分の可能性を制限してほしくないからだという。

ITやプログラミングから女子中高生が遠のく訳 | 東洋経済education×ICT | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

私自身小学生の娘がおり、基本的には「男の子だから」「女の子だから」というのは NG ワードにしているのですが、そうした直接的な言葉でなくてもバイアスが働いた事を言っていないのか、改めて気をつける必要があると思いました。

一番伝えたい事: もばらぶでは女性が活躍している

一番大事な事を先に書いておきます。もばらぶでは、男女差別は無く、女性も多数(母数は少ないですが)活躍していますので、女性の方も安心して求人へ応募していただければと思います。

以下のメンバーページをご覧頂ければ、女性が多いのが分かるかと思います。

メンバー | 株式会社もばらぶ

ご興味を持って頂いた方は、是非以下のページから応募をお願いいたします。

採用情報 | 株式会社もばらぶ

と、重要な事を書き終えたので、この話題についてもう少し書いてみます。

バイアスを助長しているもの

メディア?一般大衆?

冒頭の記事にあるようなバイアスを助長しているものは何でしょうか。

以前、世間を色んな意味で賑わせた「リケジョ」は、白衣の代わりに割烹着を着ていたり、身だしなみにも女性性を比較的前面に押し出していたように記憶しています(※)。メディアもそうした部分を多く取り上げ、研究内容・業績については殆ど取り上げていませんでした。

※: 当時もそこまで興味を持って見ていたわけでは無いので、記憶違いであればご指摘頂ければと思います

ただ、メディアというのは基本的には視聴者・読者が喜ぶものを作るので、元をたどると一般大衆がそういう記事・番組を選好して、そうした「リケジョ」を持て囃してしまうのが原因なんだと思います。

IT 系企業やコミュニティも

もちろん、多くの男性が結婚や恋愛という場面で「女性らしい」女性を好む事は事実ですし、それ自体は問題ないと思います。私自身、美男美女が出ている恋愛ドラマ・映画の方が、そうでないものより観たいと思います。

問題なのは、性別による能力・適性の違いが(控えめに言っても)殆ど無い仕事の現場において、女性である事を前に出してしまう事だと思います。具体名を出してしまうと角が立つので控えますが、big tech の一角の日本法人に在籍している女性エンジニアの方(※)とかが有名ですね。

※: ご本人はあまり(少なくとも目立つ形では)女性性を出してないですが、コミュニティやメディアの扱いが。

もちろん、広報的な側面やら何やらで話題を集める必要があるのは当然理解していますが、そういう方向性で話題を集めるのは tech 企業、tech 系メディアの姿勢として賛同しかねます。

そうしたバイアスを無くすには

ここまでで、バイアスを助長している要素をいくつか挙げました。では、そうしたバイアスを無くすにはどうしたら良いのでしょうか。

女性エンジニア自身は、そのつもりは無くても気をつけた方が良い

国によっては、転職の際の履歴書に年齢・性別・既婚/未婚は書くべきでは無いとされていますが、理由としては冒頭の記事でも触れられている無意識バイアス(unconscious bias)を避けるためです。

上述の女性エンジニアの方々は、別に女性である事を売りにしようなんて気持ちは微塵も無く、周りが勝手にそういう扱いをしているだけなのかもしれません。ただ、顔を出す事によって、周りが勝手にそういうバイアスを持つ可能性がある事は認識しておいた方が良いと思います。個人の Twitter とかであれば別に良いと思いますが、技術系の発表資料とかに顔写真を載せる意味は無いと思います。

男性エンジニアも、女性エンジニアを特別視しない

何で女性エンジニアばっかりがそんな面倒な事を気にしなければいけないのかと思うかもしれません。

もちろん、気にしなければいけないのは男性エンジニアも一緒で、男性エンジニアは女性エンジニアを特別視しない事が重要だと思います。業界全体としては女性の方が圧倒的に少ないのは事実ですが、女性の同僚を男性より手厚くサポートしたり優遇したり、あるいは逆に女性に対して不必要に厳しくしたり排除したり、というのは避けるべきです。

当たり前の話ですが、あくまで1人のエンジニアとして扱う事が重要です。(別にエンジニアに限らず、誰でも1人の同僚として扱う事が重要なのですが。)

その他、バイアスを無くす方法

思いつき: 求人応募の時点では名前を書かないのはアリかも

上の方で「国によっては、転職の際の履歴書に年齢・性別・既婚/未婚は書くべきでは無い」という話を書きましたが、実際には名前で性別や人種・年齢などがある程度推定できてしまいます。高容姫という名前であれば、朝鮮系か中国系の女性かなと思いますし、ナジーム・ハメドであれば、アラブ系の男性かなと推測します。日本風の名前の場合でも、久美子=40代以上の女性?、翔=20〜30代男性?、と推測してしまいます。

そう考えると、書類選考の段階では本名では無くニックネーム、ハンドルネームを記載してもらうというのも一つの案だと思いました。

余談ですが、以前お仕事で関わったウェブサービスの会社さんは、社内ではそのサービス上のアカウント名で呼び合っていました。

さらなる余談として、私は k4200 というアカウント名なのですが、多分呼びにくいのと一時的に関わる外注という立場だったせいか、普通に「かしまさん」と呼ばれてました。

ネタ: ビデオチャットではボイスチェンジャーと特殊エフェクトを必須にする

書類選考が終わって面談の段階になったり、実際に入社後に仕事をする場合には、ビデオチャットが必須となります。そうすると、その段階で必ず性別や大まかな年齢が分かってしまいます。

それを避けるために、まずはボイスチェンジャーで男性・女性が分からないようにしてしまう必要があると思います。情報を受け取る側に必要なのは主に声の抑揚であり、声質や絶対的な声の高さは、無くてもあまり影響はなさそうです。

ただ、ビデオチャットの映像を切ってしまうと、表情や身振り手振りなどが見えなくなり、仕事の効率に影響が出ます。これも、特殊エフェクトで顔をアニメキャラなどにしてしまえば良さそうです。表情や身振り手振りが分かれば良いだけなので。

まとめ

IT 業界は男性が多い業界で、様々な形での性差別・バイアスが存在します。それらを無くすためには、男性・女性それぞれで気をつけるべき事があると思います。

もばらぶは、そうした性差別・バイアスがゼロかどうかまでは断言できませんが、世間に比べると格段に少ないと思いますし、実際に女性エンジニアものびのびと活躍しています。興味のある方は是非以下のページをご覧ください。

採用情報 | 株式会社もばらぶ