世間では新型コロナウイルス(=SARS-CoV-2、及びそれによる感染症COVID-19を含め、以下本文中では単に「コロナウイルス」と記述します)の話題で持ちきりで、多くの会社の業務、あるいは経済全体に大きな影響が出ています。
今回は、それに関する影響・雑感などを色々雑多に書いていこうと思います。特にまとまった意見とかでも無いので、軽く流し読みしてもらえればと思います。
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当社への影響と対応
当社は、基本的にはリモート勤務なので比較的影響が少ないのですが、それでも多少は影響がありましたので、まずはそれについて述べます。
コロナウイルスの当社の業務に対する影響と対応は、大きい順に以下の通りです。
- 運営している英語教室
- → 暫定で3/15まで休校とし、オンラインでの振り替え等で代替
- → 講師は、教材作成業務に振り替え、または特別有給休暇を付与
- お客様との打ち合わせ
- → 当面はリモートで実施
- (ほぼ)月例の対面での内部打ち合わせ
- → 今月はリモートで実施
英語教室の授業中止
当社はソフトウェア開発が本業ですが、横浜で小さな英語教室も運営しています。教室の形態としては
- 生徒さんが教室に来て講師が教える、という通常の方式が主
- 一部の生徒さんは、オンラインによるマンツーマンレッスンを提供
という形なのですが、前者の通常のレッスンを3/15まで中止することに決めました。生徒さんには、
- オンラインレッスンに振り替える
- 後日の教室のレッスンに振り替える
- 返金
のいずれかを選んで頂いてます。
また、講師は時給で働いているパートタイムの人が大半のため、授業が急に無くなることにより収入が大幅に減ってしまいます。そのため、以下の対応を取る予定です。
- 授業以外に教材作成等の業務を行っていた講師は、それらの業務を進める
- それ以外の講師には、休講分だけ特別有給休暇を付与
お客様との打ち合わせ
とあるプロジェクトで1月末から定期的にお客様のオフィスで打ち合わせをしていたのですが、感染の拡大などを受けて、今週からは当面はリモートで実施することになりました。
月例の対面での内部打ち合わせ
リモート勤務な当社ですが、東京近郊に住んでいる一部メンバーとは、ほぼ毎月対面での打ち合わせを行い、打ち合わせ後は大体食事に行っていました。
打ち合わせは月の下旬が多いのですが、2月はリモート打ち合わせに切り替える事にしました。この様子だと3月もリモートなのかな、と思っています。
リモート勤務の導入企業が増えてはいるが…
今回の感染拡大を受けて、政府は企業に時差通勤やリモート勤務を行うよう推奨しており、リモート勤務を導入する企業が増えているようです。
当社は、ここ4〜5年くらいはほぼリモート勤務なので、業務の影響は軽微なのは前述の通りですが、ここではそれに関するポジショントークではなく、負の側面も書いていきます。
環境が整っていない企業が多い
時差勤務であれば、トップの一声で明日から実施、とかも可能な場合が多いと思いますが、リモート勤務の場合、制度・環境が整っていないとすぐに実施は難しいです。
環境面では、主に以下が挙げられます。
- 社員へのノートPCの支給、あるいはBYODの許可
- 業務に必要な情報・ファイルへの社外からのアクセス許可
- VPN
- クラウド
制度がリモート勤務向けでない企業が多い
また、環境が整っていても、以下のような制度に関する問題を解決する必要があります。
- どうやって個人の業績を評価するのか
- 時間管理をするとしたら、在席かどうかを細かく管理するのか
この辺を解決せずにリモート勤務を導入しようとすると、PCに付いたカメラを常に付けておいて、ツールとかで録画・監視などを行う、みたいなディストピアが発生します。
ちなみに、当社でも最初期には Remotty みたいな他者の様子が見えるツールの導入とかを検討しましたが、結局は以下のようにしています。
- 細かい時間管理は行わない(勤務時間は申告制)
- カメラでの在席確認なども行わない
- 勤務時間に見合った成果を上げているかどうかで判断
リモート勤務に消極的な企業が多い
再三書いている通り、当社は元からリモート勤務ですが、取引先はそうではない会社が大半です。
上の方で、もともと対面で行っていたあるお客様との打ち合わせをがリモートになったと書きましたが、実はリモートでの打ち合わせに移行したのはかなり遅いタイミングで、その契機となったのは関係者に感染者が出たためというものでした。
このように、何かが起こってからでないと行動に移せない企業が多い一方、別のお客様の場合はかなり早い段階で、リモート勤務推奨・無理な場合は時差通勤という方針を決定し、国内の感染が拡大した2月後半には完全なリモート勤務に移行しました。素晴らしいと思います。
感染防止策と経済・経営への影響
なぜ対策の実施が遅くなるのか
今回の国内での感染拡大の原因の一つとして、中国からの渡航者の制限が遅れた事を指摘する意見が多いです。
実際に政府の意思決定がどのように行われたとか、それらに関する批判などはここでの本題ではありませんが、どんな感染防止策を採るにしても経済的な影響や費用負担が発生します。中国からの渡航者の制限という施策がすぐに実行されなかったのは、経済的な影響の大きさが主要な理由であることは間違いないでしょう。
前述のリモート勤務への移行が消極的だったお客様にしても、移行に伴うコスト・影響の大きさから移行が遅れたのは明らかですし、ある程度理解は出来ます。
当社では英語教室の休校を決めましたが、比較的迅速に決定できたのは、当社の売上・利益に占める英語教室の割合が非常に少ないのが理由の一つだと思います。仮に、英語教室が当社の主力事業だった場合に、すぐに同じ意思決定できたかというとあまり自信はありません。
リスクの過小評価
結局のところ
- 対策にかかる費用、対策することによる利益の減少
- リスクが発生した時の損害×リスクの発生確率
を比較して、前者の方が小さければ対策を実施するし、大きければ実施しないという事なのですが、得てして後者を過小評価してしまう事が問題の本質だと思います。
そうしたリスクを過小評価してしまうことを、認知バイアスの一種で正常性バイアスと言うらしいですが、認知バイアスというのは、経営や国家運営に大きな影響を及ぼすな、と今回実感しました。
災い転じて
休校・リモート勤務関連のビジネスはチャンス?
先週金曜日に、政府から国内の小中高に対して3/2(今日)から春休みまでの休校が要請されました。急な発表だったため戸惑った人・組織も多かったと思いますが、この非常事態をビジネス上のチャンスと考えて(もちろん、単純に社会のためという意識もあると思いますが)、行動を起こす企業も沢山出てきました。
いくつか例を挙げるだけでも、以下のようなものがあります。
- 期間限定で、オンライン教育サービスの無償提供
- 期間限定で、オンライン会議サービスの無償提供
- 政府による補助が一時的に拡充されるのに伴い、ベビーシッターサービスのマーケティング拡大
- リモート勤務関連ツールの拡販
- リモート勤務導入のコンサル
(マスクの転売とかはダメですが)このような時期でもビジネスを伸ばそうという姿勢は、見習うべきところがあるなと思いました。
景気後退で色々安くなる
2019年10〜12月期は、実質GDPが-1.9%となり、2020年1〜3月期もコロナウイルスの影響でマイナス成長がほぼ確実です。4〜6月期がどうなるかは分かりませんが、急激に状況が良くなるとも思えません。
当面、株価は低迷を続け、倒産する企業も増えることと思います。それによって、モノ・サービス、あるいは企業・事業を安く購入できる可能性が高くなります。
業績の良い企業、現金を沢山保有している企業にとっては、今回の事態をチャンスとみなすことも出来そうです。
今後どうすれば良いのか
今回のコロナウイルスが収束した後も、様々な災害・病気などが発生すると思います。今回の件を振り返って、今後どうすれば良いかについて考えてみました。
リスクを分散させる
1つの事業に集中すると、当たった時の見返りが大きい反面、リスクに対して弱いです。スタートアップはその典型的な例でしょう。企業としてそうした高リスク高リターンな方向を目指すのも1つの選択肢ですが、当社はそこまでリスクを取らず、中リスク中リターンくらいの方向性が良いかなと思っています。
具体的には、主要事業が2〜3個、受託開発事業に関しても、大口のお客様を3〜4社くらい確保したいと考えています。
色んな意見が出る環境にする
前項と似ていますが、社内に同じような人達しかいないと、同じような意見しか出ずに、リスクを過小評価したり、効果的な対策が出てこなかったりする可能性があります。
当社は比較的多様なメンバーがいる方だとは思いますが、今後はさらに多様性のあるチームにして、危機に備えたいと思います。
現金や融資枠を確保しておく
災害や今回のような病気の流行などにより売上が減少したとしても、社員への給与や外注先への支払いなどは行う必要があります。仮に口座に現金が無かったり、銀行からの融資枠が無かったりすると、会社の存続に関わってきます。
また、前述の通り、こうした時期には色々なものが安く買えるチャンスでもあるので、現金・融資枠を確保しておくと良いと思います。
当社は幸いにして、現在比較的現金は残っていますので、今後もある程度は残しておきつつリスクに備えようと思います。
さいごに
今回の非常事態は、経済への影響という意味では、東日本大震災以来9年ぶりですし、病気の流行という意味では、2009年の新型インフルエンザ以来11年ぶりくらいです。
今後も、10年、あるいは長くても20年に1度くらいは、社会に大きな影響を与える出来事が発生すると思います。会社としては、そうした出来事を乗り越える体制を整えつつ、継続的に成長していきたいと考えています。
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