しつこいようですが、もばらぶの企業理念は

働く場所・時間帯を、働く人が自由に選べるような社会にする

というものです。それを実現するためには

  1. 自分たち自身が働く場所・時間帯を自由に選べるようになる
  2. 世間の人が働く場所・時間帯を自由に選べるようになるためのサービスを提供する

という2つの段階があると考えています。

そのうちの1つめの段階にはある程度到達できていると考えています。メンバーは、場所という点では日本各地、海外数カ国にいます。時間に関してもフルタイム・時短勤務は自由に選べますし、雇用契約の人はフレックス制となっています。

ただ唯一の例外が代表取締役である私で、役所の手続きだったり重要な郵便物の受け取りだったり、何だかんだで日本国内にいた方が楽なので日本に住んでいたのですが、この度、3月末に家族揃って海外(マレーシア)に移住することにしました。(計画自体は1年半くらい前から立てていましたが。)

「会社の運営は別の人に任せるのか」とか、「代表取締役から外れるのか」、という質問を何度か受けましたが、いずれも答は「いいえ」です。今後は、海外在住のまま日本法人の運営を行う予定です。

事前にやった事

ここでは、海外から日本法人を運営するために必要と思われる事のうち、日本出国前に行った事を書いていきます。

代表取締役が極力介在しない業務手順にする

多くの中小企業は、最初は代表取締役なり代表社員が1人で営業から経理までほぼ全ての業務を行っています。

ただ、それでは企業が成長できないと考え、もばらぶの場合は、業務の他メンバーへの委譲を結構前から進めており、開発作業などは数年前からほぼ他の人に委譲できていました。ただ、役所関連だったり事務関係は、ある程度は他のメンバー(経理・事務担当の Kuroki)に任せていたものの、それでもそれなりの数の作業が引き続き代表取締役の私がやる必要がありました。それらの業務手順を、ここ1〜2年で極力私が介在しない形に徐々に変更していきました。

例えば、本店所在地に届く郵便物は基本的には全て Kuroki の自宅に転送してますし、各種オンラインサービスも Kuroki 用のアカウントを作成して適切な権限を付与しています(そうした権限付与が出来ないサービスは極力使わないようにしています)。

なるべくオンラインで出来るようにした

また、どうしても私が何かする必要がある場合でも、なるべくオンラインで済ませられる形を模索しました。

例えば銀行口座ですが、普段メインで使っているのはGMOあおぞらネット銀行ですし、ゆうちょ銀行は紙の通帳が無くなる替わりに「入出金明細を最大20年間」確認可能なゆうちょダイレクト+というサービスを使っています(無料)。

ゆうちょダイレクト+(プラス)について-ゆうちょ銀行

ここまで書いて思ったんですが、元々全員リモートワークをしていたので、新たにオンラインに切り替えた作業というのはそこまで多くありませんでした。

※: 経営セーフティ共済加入のために必要だったので都市銀行(赤)の口座も持っていますが、無料のインターネットバンキングは機能が限定的で使い物にならないので、ほとんど使っていません。

税理士を変更した

今までの税理士の先生には大きな不満は無かったのですが、海外関連の経験があまり無さそうだったので、そうした経験が豊富な別の方に変更することにしました。

国際関連の税務というと巨大な多国籍企業にしか関係なさそうなイメージで、その辺を専門にしている大手事務所だと当然もばらぶの予算では無理です。ただ、実際には中小企業でも海外との取引がある会社は多く、今回お願いすることになった税理士の先生は(詳しくは聞いていませんが)恐らく中小企業を担当することも多いように思えますし、金額的にも何とかなる範囲でした。

海外で使える050の電話番号を取得した

元々、公開しているもばらぶの電話番号は050の IP 電話だったのですが、重要な物は私個人の携帯電話(090の番号)を登録していました。海外でもその番号を使おうと思えば使えるのですが携帯のローミングは料金が高いため、私の携帯電話にも IP 電話アプリを入れて会社のとは別の 050 の番号を使えるようにしました。使っているのは以下のものです。

法人向け050通話アプリ ビジネス LaLa Call(ビジネスララコール)

移住後困った事

登記事項の変更

法人の登記事項に変更が生じる場合は、法務局に届け出る必要があります。役所への届出といえば紙というイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、登記事項の変更はオンラインでも出来ます。

法務省:商業・法人登記のオンライン申請について

その辺を事前に調べていたので、オンライン申請に必要な電子証明書を移住前に取得しておいたのですが、そもそも手続きの方法に(Kuroki が)四苦八苦しました。司法書士にお願いすれば良いのかもしれませんが、海外在住だと結局対応が面倒そうです。

なお、法務局の方は親切に教えてくれたそうです。マレーシア、フィリピンで法人設立などをした経験からすると、日本の役所は概ね親切だと思います。

今の所そんなに困ったこと無いかも

本当はもっと困ったことが出てくるかとも思ったのですが、今の所はそれほど大きな問題も無く過ごせています。もばらぶは4月末決算なので、決算処理とかで何か問題が出てくるかもしれませんが、その際には追記しようと思います。

とは言え、距離的にはそんなに近くは無いものの直行便が毎日出ているので、何かあれば帰国することも出来ます。

今後

対人サービスをリモートで管理出来るか

詳細はまだ書けないのですが、現在、対面での接客を伴う事業を都内で実験的にやろうとしています。本事業を管理するメンバーが近くに住んでいれば良いのですが、出来そうな人が誰もいないため、現在は私が海外から指示を出しつつ進めようと思っています。

今の所の感触としては相当厳しいです。本当は移住前にある程度オペレーションが軌道に乗るところまで終わらせたかったのですが、現在はまだ立ち上げを行っているところです。

帰国の際に対面で無いと出来ない事をやる

今後は少なくとも年に3回くらいは帰国しようと思っています。その際には、取引先の方との会食や社内メンバーと会ったり、という用事を詰め込もうと思ってます。また、上に書いた対面での接客を伴う事業の残作業なども帰国時に一気に進めたいです。

まとめ

「働く場所・時間帯を、働く人が自由に選べるような社会にする」という企業理念を自ら体現するために(それだけの理由ではありませんが)、代表取締役の私が海外に移住してみました。元々リモートで仕事をする事が多かったので、今の所は思ったほど不都合はありませんが、今後何か出てきたら随時業務を改善しつつ問題を潰していきたいです。

海外移住にご興味のある中小企業代表の方がいらっしゃれば、分かる範囲でノウハウを共有いたしますので、以下のフォームよりお気軽に声をかけてもらえればと思います。

お問い合わせ – もばらぶん