1ヶ月以上前の話ですが、連休最終日の5/7からカンボジアのプノンペンに行ってきました。現地で2泊、飛行機内で2泊という短めの日程だったので、出来なかった事も多いですが、それなりに有意義だったと思います。

目的

今回のカンボジア訪問の目的は以下の通りです。

  1. ビジネス環境の調査
  2. ワーケーション環境の調査
  3. 現地メンバーの Bunlong と会う

1つ目ですが、現地で法人を設立して開発者を雇う、あるいは(カンボジアにとっての)外国人が現地に移住する、などのメリット・デメリットを知る事が目的です。もちろん、現地に行かなくても分かる情報も多いですが、現地に行って実際に体感してみないと分からない情報というか感覚もあると思うので、その辺がメインです。

2番目は、カンボジアでワーケーションする環境や、そもそもどういった魅力があるのかを知る事が目的です。こちらもネットでは得られない情報・感覚を得るのに主眼を置いています。

3番目ですが、カンボジア在住メンバーの Bunlong とは、一緒に仕事をし始めてから数年経つものの直接会った事が無いので、今回初めて会うというものです。

カンボジアのビジネス環境

設立・銀行口座開設等の手続き

まずは現地に行かなくても分かる類いの情報ですが、カンボジアでの法人設立・銀行口座開設は、基本的にはそんなにハードルは高くありません。

現地で大手銀行の方とも話をした感じだと担当者の裁量で決められる部分も結構多いようなので、口座開設や融資などで思い通りに行かなければ違う銀行・支店を試してみるというのもありかもしれません。

ビザ関連

(この項は、全て現地に行かなくても分かる情報です。)

就労ビザ取得は、他国と比べると簡単だと思います。同じ東南アジアのシンガポールやマレーシア、タイなどだと、資本金の要件が結構厳しかったり、ビザを取得する人の給与も高めで無いとビザが下りませんが、カンボジアは今の所それほど厳しくないようです。

出張でカンボジアに行く場合には(観光でも同じですが)、日本人の場合はビザが必要です。ただし、カンボジアの空港でも取得できるため、ビザ無しと同じ感覚で渡航すれば問題ありません。心配な方は、事前に大使館で取得してください(※)。

※: 観光ビザであればオンラインでも申請・取得できますが。

インフラ

現地の人の話では、20年くらい前までは電力事情も悪く停電も多かったようですが、今は大分改善されているようです(全く停電が無い、とまではいかないようですが)。

ネットに関しては、速度や質は他の国に劣るようです。(私が泊まったホテルの wi-fi もかなり遅かったです。)また、価格に関しても、日本だと(ベストエフォート型ではあるものの)100Mbpsで数千円ですが、カンボジアの場合は10Mbps や 30Mbps でそれに近い値段がします(同じくベストエフォート型だと思われます)。

携帯電話は、他国と同様でパスポートがあれば SIM が買えます。速度は計測し忘れましたが、遅いとは感じずに普通に使えました。ホテルの wi-fi が遅かったので、テザリングしましたが、それも特に問題は無かったです。

ソフトウェア開発者

現地ソフトウェア開発者の質・量に関してはあまりはっきりした情報は持っていませんが、東南アジアにあるオフショア拠点として人気のあるベトナム、フィリピン、タイなどと比べて人口が少ない事から、量に関してはそれらの国に劣る事は間違いありません。質に関しては、狭い観測範囲(3〜4人)での話になりますが平均的という印象です(※)。

※: 弊社で働いている Bunlong は3〜4人の中で一番優秀です。

現地のソフトウェア産業がそこまで大きくない事もあり、現地の開発者は外資系企業で働いている割合が多いそうです。また、オフショア開発・リモートワークに慣れている人が多いのもメリットだと思います。

賃金に関しても、ベトナム、フィリピンなどよりは安く、それらの国の10〜15年くらい前という感じです。

言語

ソフトウェア開発者は現地では高学歴のエリートですので、基本的には英語は話せます。ただし、英語が公用語であるフィリピン、マレーシア、インドなどに比べると英語力は少し劣ります。また、(高学歴で無い)一般の人では英語を話せない人も多く、Grab (タクシーアプリ) で呼んだ運転手さんやローカルのお店(※)の店員さんで英語を話せる人は少なかったです。

※: ショッピングモールなどの大型店や、観光客が多いマーケットのお店などは除く

行政等

プノンペン国際空港では、入国手続きのカウンターのところで「ここではお金を払う必要はありません」みたいな掲示があり、「あー賄賂を要求する職員が多い(or 多かった)んだな」と思いました(他の東南アジア諸国でもよく聞く話です)。ちょっと検索してみると、こんな記事もありました。

自治体職員は賄賂を無しにサービス提供するようにー和平から30年後にー |カンボジア生活情報サイト:スター☆カンボジア 

また、政治的な透明性にも欠けるようで(こちらも東南アジアあるあるですが)、最近でもこんな話題がありました。

カンボジア 政権に抵抗する野党の総選挙への参加 選管が認めず | NHK | 海外の選挙

全般的に見ると、全世界から企業が集まるシンガポールは言うに及ばず、マレーシア、フィリピン、タイなどに比べても、安定してビジネスを行えるかという観点では劣ると思います。

日本、中国などとの関係

カンボジア人の日本・日本人に対する印象は良いようですし、日本製の車・バイク、日本料理店も沢山見かけます。一方、ビジネスでは中国企業の勢いが強いのを感じました。(今回はたまたまだと思いますが)現地で日本人を見かける事は一度も無かったのに対し、中国語の看板などは至る所で見かけます。

また、政府も(多くの ASEAN 諸国と同様に)どちらかというと中国寄りですが、それはひとえに中国の投資額が大きいからであり、一般の人の中国政府あるいは中国企業に対する印象はそこまで良くないようで、現地の人と話した感じからもその辺は窺えました。

その他

若い国で、どんどん発展している感じがしました。人口構成としても若く、これからの国という印象です。

物価もまだまだ安く、金銭面でも上述の通り制度面でもビジネスを始めるのは容易です。

カンボジアのワーケーション環境

今更ですが、ワーケーションとは work + vacation の造語です。リゾート地などに滞在して、vacation 気分を味わいつつ仕事をするというものです。ここでは、カンボジアでワーケーションする事について書いていきます。

インフラ・仕事場所

インフラに関しては、基本的には「カンボジアでのビジネス環境」のところに書いたとおりで、そこまで質は高くないものの、仕事をするのに困るという事は無いと思います。また、個人であれば、オフィスを借りずにカフェのフリー wi-fi を使う場合もあるかと思いますが、プノンペンのカフェは大抵 wi-fi がつながります。

コワーキングスペースも探したのですが、コロナ禍で閉じてしまったところも結構あるようでした。大手の Regus もありましたが、ウェブサイトからの予約が出来なかったので今回は断念しました。コワーキングスペースについては、次回カンボジアに行った際に見てみようと思います。

観光

ワーケーションとは work + vacation ですので、観光もしたいところです。カンボジアで観光と言えばやはりアンコールワットですが、プノンペンからアンコールワットのあるシェムリアップまでは飛行機か長距離バスで行く必要があります。

プノンペン周辺だと有名な観光地は多くはありませんが、王宮は観る価値はあると思います。

王宮の正門

また、大きなマーケットもいくつかあり、土産物を買うのも楽しかったです。

生活

ホテルや Airbnb の値段はお手頃ですが、周辺諸国に比べて圧倒的に安いという訳では無かったです。

食事は人によって意見も異なると思いますが、個人的には結構好みでした。タイ料理から辛さを少し無くして、少し味付けを変えたというようなイメージです。お酒の値段が安いのも嬉しいところです(マレーシアは高いので)。

↓はマーケット内の食堂みたいなところで食べたものです。

↓は現地では割と高級なお店で食べたものです。と言っても、1人$50とかそれくらいでしたが。

ただ、ビジネス環境の項でも書きましたが英語が話せる人が結構少ないので、英語や日本語が恋しくなる人もいるかもしれません。長期滞在するのであれば、クメール語を少し覚えておいた方が良さそうです。

治安は悪くないです。スリ・ひったくりといった犯罪はそれなりにあるようですが、強盗、殺人などの凶悪犯罪はそれほど多くないため、大金を持ち歩かないなどの基本的な注意をしておけば問題無いという印象です。

現地メンバーと会う

今回の最後の目的は、現地メンバーである Bunlong と直接会う事です。彼と仕事をし始めたのは2018か2019年だったと思います。最初は別の会社で働いていたのですが、後にもばらぶに加わることになりました。経緯については以下の記事に記載してあります。

彼との付き合いは数年になるものの、ビデオチャットで話したことが1〜2度だけで、普段はチャットでのやり取りしかありませんでした。

今回、私が滞在していたホテルまで来てもらって初顔合わせとなりました。その後、市内を見て回るのに付き合ってもらい、夜ご飯を一緒に食べたり、翌日は彼のバイクで市内観光をしたりしました。ちなみに、市内は車も多いですが、バイク、トゥクトゥク(小型のタクシーみたいなの、詳しくは検索してください)も多く、その辺も少し前のベトナムとかに近いかなと思った点です。

余談ですが、滞在期間中は、SEA Games という東南アジアでの大きなスポーツイベントが開催されており、プノンペン郊外にある新たに作られたスタジアムも彼と見学に行きました。平日だったのでガラガラでしたが。

まとめ

今回、現地2泊ですがカンボジアに滞在して、ビジネス環境・ワーケーション環境の視察と現地メンバーとの初顔合わせをしてきました。

ビジネス面でカンボジアを見ると、物価も安く、金銭面でも制度面でもビジネスを始めるのは容易です。国民全般としては親日的ですが、経済的には中国の影響力が大きく、日本企業はそれほど目立っていませんので、日本企業にとってはフロンティアという感じがしました。行政の不透明さというリスクはあるため、本業として大々的に展開するのは難しいかなとは思いますが、個人的には(失敗しても良いくらいの金額で)カンボジアで何かやってみようかなという気になりました。

ワーケーション先としては、物価が安く、治安やインフラ面もまずまずなのは良いと思います。観光に関しては、アンコールワットを除くと有名なところはそこまで多くないのと、ビーチリゾートもセブやプーケットなどと比べて、よく言えば素朴、悪く言えばあまり開発されていない感じなので、それをどう見るかというところです。

もばらぶの現地メンバーは今の所1人だけですが、機会があればもう少し増やしても良いかなとも思いました。

もばらぶでは、カンボジアも含めた海外にも積極的に進出中です。海外で働きたい方、海外メンバーと一緒に仕事をしたい方、単に会社に興味がある方など、お気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。

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