新型コロナが国内でも流行し始めて1年近くが経ちました。ここ最近では再び全国的に感染者が増え、緊急事態宣言も出され、政府としては難しい舵取りを迫られています。

こういう難しい時期には、何か分かりやすいものに原因を求めたくなるもので、首相、政府、自治体、飲食店、医師会、病院、果ては感染者まで、様々な方々、団体が、各種の批判に晒されています。

本投稿では、個々の原因追求や批判はしませんが、控えめに言っても、危機管理として甘い部分があった団体、方々が結構いたように思えます。

以下、いくつか気になった点と、企業経営に活かせる点などについて書いていきます。

兵站の重要性

兵站とは

兵站とは、字から分かるように元々は軍事用語だと思いますが、辞書には以下のようにあります。

戦闘部隊の後方にあって、人員・兵器・食糧などの前送・補給にあたり、また、後方連絡線の確保にあたる活動機能。ロジスティクス。「兵站部」

兵站(ヘイタン)とは何? Weblio辞書

ビジネスの世界の話では、大雑把に言えば、人員・原材料・現金を確保したり設備を整えたりする事でしょうか。

発生した問題点

コロナ関連では、以下のような兵站関連の問題が発生しました。

  • 初期の頃、防護服などの医療物資が足りなくなった
  • 初期の頃、マスクが買えなくなった、あるいは高騰した
  • 初回の緊急事態宣言時、食料、生活必需品の買い占めが発生した
  • 昨年末、旭川等に自衛隊の看護師を派遣せざるを得なくなった
  • 現在、大都市で重症者向け病床が逼迫している

ビジネスに目を向けてみると、以下のような問題を見かけました。

  • 緊急事態宣言時、世間的な消費性向の低下により一時的に業績が落ちて、資金繰りに窮して倒産した
  • 海外からの物流の減少により、原材料が足りなくなり、減産せざるを得なくなった
  • PCや通信環境の整備がされておらず、テレワークを行えなかった

余裕を持たせておけばそれで良いのか

では、こうした問題に備えて、現金・原材料・人員を多く抱えておけば良いかというと、必ずしもそうでは無いでしょう。

現金を沢山持っているというのは、投資が足りないという見方も出来ますし、大手企業であれば「内部留保が多すぎて還元すべきだ」などの批判も出てきそうです。

また、原材料の在庫を多く抱えておけば、当然倉庫代などに余計なお金もかかりますし、余剰人員を抱えすぎる弊害も同様です。

どうすれば良いのか

結局どうすれば良いのでしょうか。どんな場面でも通用する正解はないと思いますが、

  • 事前にこうした事態をある程度想定しておく

というのは、原則では無いかと思います。

今回のような全世界的な危機というのは、10年に一度程度は発生しています。過去に起きたような事が今起きたらどうなるのか、どうすれば良いのか、を考えて対策しておくことで、危機を乗り切れる可能性が高くなると思います。

当社はどうだったか

当社では、ここ1年を通してみると、事業にそれほど影響はありませんでしたが、昨年の4〜5月は一時的に売上が落ち込みました。また、対面での英語教室は閉鎖して、オンラインのみに移行しました。

当社は原材料が必要な業種ではありませんので、兵站という話ですと人員と現金の2点が主なものです。

現金に関しては、比較的多めに保持していたのと、各種助成金などのおかげもあり、それほど影響はありませんでした。(そもそも、売上が落ち込んだ時期も短かったです。)

ただ、これに関しては前述の通り、元々投資が足りなかったとも言えるので、今年以降は積極的に投資をしていこうと思います。それと共に、有事の際に機動的に融資を受けられるように、金融機関との取引も増やしていこうと考えています。

人員に関しては、急激に仕事が増えたりとかも無かったので、こちらも大きな影響はありませんでした。ただ、開発の仕事というのは元々波があるため、以前からそれに対応出来るような体制を整えていましたので、その点は今回活かされたと思います。

まとめ

今回のコロナウィルスのような危機が発生した場合、兵站というのは重要な意味を持つと思います。ビジネスの世界では、危機の時に人員・現金・原材料・設備などをどう整えるかが重要です。そのために、平時から危機をある程度想定して計画を立てる必要があります。

兵站以外にも危機管理という観点で重要なことは色々ありますが、書いているうちに長くなったので、続きは別途書こうと思います。