前回の投稿の続きです。前回の投稿はこちら↓
新型コロナが流行し始めて1年近く経ちましたが、危機管理という点で気になった点、考えさせられる点が多々あったため、前回・今回と書いています。今回は、状況の変化への対応についてです。
事例: 政府のコロナ対策
当初は比較的上手くいっていた
昨年(2020年)春時点での日本のコロナ対策は、大雑把に言って、感染者・濃厚接触者から感染経路を調査し、クラスターの発生を極力防ぐというものでした。
当時のマスコミでは「なぜPCR検査をもっとやらないのか」という声が圧倒的でしたが、無症状の感染者が大量に発覚して医療崩壊することを恐れたのか、そもそも検査のキャパシティが無かったのか、あるいは別の理由なのかは分かりませんが、いずれにせよ今のように気軽にPCR検査を受ける事は出来ませんでした。
その後事実として起きたことは、感染者数・死者数は、欧米諸国に比べると圧倒的に少なく、他のアジア諸国と比較してもそこまでひどくないという好ましい状況でした。
そこから考えると、クラスター対策は割と効果を発揮していた可能性が高いと思います。
(実際には、日本固有の所謂「ファクターX」があっただけで、クラスター対策の効果は全く無かった、という可能性もゼロではありませんが。)
その後上手くいかなくなった
さて2021年に入った現在ですが、感染者数は全国で連日数千人、東京に限っても1000人を超えています。昨年春頃に比べて少なくとも5倍以上になっています。
普通に考えると、保健所や関連各所の人員が大幅に増えない限り、以前と同じ追跡調査は不可能で、現に、「神奈川県は調査対象を重症化リスクが高い場所に絞る運用を始めた」そうです。(参考記事)
また、新型コロナは発症前にも強い感染力を持つということが、昨年春以降で分かってきました。そのため、無症状者を捕捉出来ていない(≒ PCR検査実施数が少ない)状態ではクラスター対策は効果が薄れるとの指摘も多く挙がっています。
いつ、どういう政策を採るべきだったかなどは私は分かりませんし、ここでの本題ではありませんが、重要な点としては
- 昨年の春先に上手くいっていた方法(クラスター対策)が、その後機能しなくなった
- 機能しなくなった方法を、かなり後まで継続して実施していた
という2つだと思います。
どうすれば良かったのか
では、どうすれば良かったのでしょうか。具体的な政策はさておき、原則的な方法論としては、
- 現状成功している方法の前提条件を理解しておく
- 前提条件(=状況)がどのくらい変わったら違う手段に切り替えるのか(あるいはその検討をするのか)を事前に決めておく
といったことが必要だったと考えます。
似たような事例は多数
詳しくは書きませんが、似たような事例は沢山あったように思います。
GoToトラベルキャンペーンは、それによって助かった旅行関連事業者も多数いると思いますが、感染者が増え始めてもしばらく継続し続けて批判を浴びていました。どういう状況になったら停止するのか、などを事前に決めて周知し、その通りに実施するだけで、世間的な納得感も異なったのかなと思います。
また、かなりレベルの低い例ですと、在庫を捌ききれなかったマスク転売業者とかもそうかもしれません。しばらくはマスク不足が続くと思っていたら、思いのほか早くマスクの需要が減ってきて打撃を受けました。(後から言うのは簡単ですが)様々な会社がマスクを生産し始めたり、布マスクなどの選択可能なマスクを使う人が増えてきた時点で撤退しておくと良かったのかもしれません。
ビジネスでも同様の失敗は多数
ビジネスの世界でも、過去の成功体験に固執して没落する、状況の変化に気づかずに失敗する、といった例は枚挙に暇がありません。
成功例は千差万別だけど、失敗例は似通っている、みたいな話をよく聞きますが、分野を問わずに失敗例というのは似ているのだなと思いました。
まとめ
どのような分野でも、状況の変化を読み違えると致命的な失敗を犯しかねないということを、本投稿を書いていて再認識しました。
近年は変化が激しい時代と良く言われます。今後も状況の変化は常に起こると言うことを常に念頭に置いて仕事を進めていこうと、改めて思いました。
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