気づけば半年以上ブログを書いていませんでした。

さて、タイトル通りなのですが、最近 Upwork というクラウドソーシングサイトを使い始めたところ、あまりに凄すぎて衝撃を受けたので、ぜひ皆さんにも使って欲しいと思って少し書いてみます。

なお、Upwork 関連で他にもいくつか書いていますので、もし良ければご覧下さい。

Upwork には1千万人のフリーランサーがいる

検索すれば分かりますが、世界最大のクラウドソーシングサイトで、元々世界最大だった oDesk とそのライバルだった Elance が合併して出来た会社です。世界中にいるフリーランサーの数はなんと1千万人だそうです。

数年前に前身の oDesk に登録していたものの全然使っていなかったのですが、今回初めて使って、この1千万人のフリーランサーの威力を思い知らされました。

参考までに、国内最大手(と思われる) CrowdWorksの登録ユーザー数(発注側も含むはず)は80万人、ランサーズは会員数を公表していませんが、CrowdWorksより少ないものと思われます。

感動体験を簡単に

マイナー技術でも、出来る人がたくさんいる

今回、あるプロジェクトをやっていたのですが、技術的に初めての部分もあり、少し詰まってしまいました。自分で色々調べても良かったのですが、時間的に余裕が少しあったので、クラウドソーシングに試しに投げることに決めました。

今回使う技術は比較的特殊で、海外ではそれなりに使われているようですが、国内ではそこまで使われていないようで、CrowdWorks でその技術名で検索したところ、ワーカーさんは1名しかヒットしませんでした。

そこで Upwork のことを思い出して、試しに Job を登録してみたところ、その日のうちに数名の応募がありました。さすが登録者数1千万人、と驚嘆しました。

しかも低価格でそれなりに高品質

その技術はビジネス寄りのもので、その技術を使ったプロジェクトは大体それなりの額になることが多いので、時給$30くらいで良い人がいればまぁいいかな、と思っていたのですが、実際にはそれを大幅に下回る額での応募がほとんどでした。

過去の CrowdWorks の経験だと、時給1000円台のエンジニアは技術的に怪しい人がたくさんいて、フィルターするのにかなりの労力がかかったのですが(感覚として仕事がちゃんと出来る人は10人に1人くらい)、Upwork だと安い金額でもそれなりに成果を上げてくる人が多かったです。

とにかくこれには衝撃を受けて、一人でかなり興奮してしまい、この記事を書くことにしました。

クラウドソーシングを上手く使う条件

どんな仕事が向いている?

元々、私自身は CrowdWorks はかなり使っていたほうで、以下のようなタスクをCrowdWorksのワーカーさんに投げていました。

  • 簡単なwebサイト作成(弊社サイトも、CrowdWorksで3万円くらいで作ってもらいました)
  • 受託開発プロジェクトの一部あるいは全部(契約的に再委託が許される場合)
  • データ入力等の細かいタスク

あるいは、仕事を違った切り口で分類すると以下のようになります。

  1. 自分でも出来るけど、忙しくて出来ない・やりたくないもの
  2. 自分では出来ないけど、今後は身につけたいもの
  3. 自分には出来ないし、今後やる予定もないもの(デザイン等)

1は、技術的には比較的簡単だけど、ページ数が多いwebサイトとか、PHP のように今までさんざん扱ってきた技術のものとかが当てはまります。

2は、今後その技術を使った仕事が入ってきそうだけど、今現在はそのスキルがないので、出来る人を採用してその人に最初は進めてもらって、プロジェクトを進めていくうちに技術やノウハウを吸収して仕事を引き継ぐ、というものです。

3は、デザイン等の、今もできないし今後もやる予定のないものです。

では、これらの仕事のうち、どれがクラウドソーシングに向いているのでしょうか。または、クラウドソーシングを上手く使うためには、それ以外に条件があるのでしょうか。

仕事を分割すると良い

最近では色んな人がクラウドソーシングを使っていて、webにも情報が出ていると思います。検索して思い出したのですが、私自身も以前記事を書いていました。

クラウドソーシングに出しやすい仕事の条件としては、「細かく分割しやすい」というのが第1に挙げられます。正確には「仕様及び成果物が明確なもの」なのですが、周知の通り大きなプロジェクトの仕様や成果物を事前に明確にするのはかなり困難なので、実際にはプロジェクトを分割していって、1つ1つのタスクをクラウドソーシングとして発注するというのが現実的です。

そのことにより、以下のようなメリットもあります。

  • 仕様の矛盾等に事前に気づける
  • 依頼した人に問題があった場合に、他の人に振るなどのリカバリーがしやすい

デメリット・注意点としては、

  • タスクの分割、整理にそれなりに時間をとられる
  • タスクの成果をレビューする人にも技術的な知識が求められる
  • プロジェクトに関わる人が多くなると、コミュニケーションコストがそれなりにかかる

というのが挙げられます。

ワーカーの選択肢が多いと尚良い

その他の要素として、ワーカーの選択肢について触れておきます。

今までに挙げたような条件を満たしていたとしても、そのタスクが出来る人が少ない場合、なかなかいい人が見つからなかったり金額が高くなったりして、クラウドソーシングのメリットが少なくなってしまいます。例えば、PHP や Ruby on Rails のエンジニアは、CrowdWorks で割と簡単に見つかりますが、Fortran が使える人を見つけるのは結構大変かもしれません。

その点、Upwork であれば、働いているフリーランサーの数が CrowdWorks の10倍以上ですので、いい人が安く見つかる可能性が格段に上がります。

選択肢が多いと、需要と供給の関係で、必然的に価格も下がる傾向にあります。前述のとおり、日本であれば割と特殊な技術ということで時給3000円以上は必要と思われる案件も、Upwork を使うことでそれよりかなり安く発注することが出来ました。

具体的なtips

クラウドソーシングに適した仕事の条件については、前節で書きましたので、ここではもう少し具体的なtipsを説明しようと思います。なお、以前の記事も参考にして頂ければ幸いです。

お試しタスクを設定する

ある程度長期のプロジェクトであれば、いいフリーランサーを確保するのがとても重要になります。そのために検討して欲しいのが、試験的なタスクを設定する、というものです。これは CrowdWorks の時にもやっていたのですが、比較的簡単で短時間で終わるタスクを用意して、それを複数人の人に発注するというものです。

どんなに簡単なタスクであっても、技術者の力量というのは成果物に現れます。同じタスクを複数の人に発注することで短期的にはお金が若干余分にかかりますが、豊富な選択肢の中から技術レベル及び金額のバランスを考慮して最適な技術者を選ぶことにより、その分はすぐに元が取れるようになります。

時間のリミットを設ける

CrowdWorks でも Upwork でも、週にN時間まで、という制限をつけることが出来ます。(お試しタスクの間は特に)時間制限を設けておくことをお勧めします。そうすることにより、技術不足などでタスクが終わらなかった場合に、無制限に働かれてしまうことを防げます。

また、お試しタスクの場合は、制限時間までに終わらない場合は、そこで契約終了する旨を事前に伝えておくとトラブルが無くてよいです。

評価は重要

フリーランサー側もクライアント(発注)側も、評判は重要です。Amazonやヤフオクなどと同様です。発注側として高評価を得られるように、気をつけた点が色々あります。

まず、能力不足等でこちらの期待した成果を上げられなかったフリーランサーに対してですが、以下のような点を気をつけました。

  • (前述のとおりタスクを小さくしておき、)契約は早めに終わらせる
  • いくら酷い相手だとしてもお金はしっかり全額払う(時給制にしておくと良い)
  • 報復で低評価を付けられるのを避けるため、相手に低評価をつけるのではなく、評価を行わないようにする(※追記:Upwork では両方のフィードバックが入力されてからじゃないと公表されません)
  • チャット等のやりとりはあくまで丁寧に行う

逆に、期待した成果を上げてくれた人たちに対しては、以下のようなことを行いました。

  • 少額でもいいので、ボーナスを支給する
  • 継続して働いてくれた場合には、時給を少しずつ上げる

あと、Upwork は分かりませんが、CrowdWorks では、1000万円のプロジェクトに対する評価でも100円のプロジェクトに対する評価でも、特に重み付けはされていないようなので、最初のうちは小さめのプロジェクトを沢山回して評価を上げておくと、良いフリーランサーが応募してくるようになると思います。

国による違いを理解する

これは Upwork 限定の話ですが、人間はひとりひとり違うものとは言え、やはり国民性や文化といったものである程度国ごとに傾向が出てきます。したがって、各国の傾向を理解しておくのが重要に思えます。

私自身は、過去の職場でカナダ人、レバノン人、メキシコ人、チュニジア人、フィリピン人、シンガポール人、中国人などと仕事をした経験があり、一般的な日本人よりは比較的多くの国の方と仕事をした経験があると思いますが、それでも、Upwork に登録しているフリーランサーの多様な国籍からするとごく一部なので、初体験の国の人が多いです。

そうした場合は、やはり最初は様子見をするのが良いと思います。その場合も、小さなお試しタスクをいくつかやってみて傾向をつかむのが一番よい方法でしょう。

私自身、今回はインド人2人、ロシア人1人と仕事をしてみました。サンプル数が少ないのですが、参考までにどんな状況だったか書いておきます。

2017/9/22 追記: アメリカ人に関しても記載しました。また、ロシア人の項に加筆しました。

インド人

Upwork では、多分いちばん登録数が多いのがインド人でしょう。私が仕事をした人は、2人共真面目で、積極的に報告などをしてくれました。

そのうちの1人は制限時間にタスクが終わらなかったのですが、「これこれこういう理由で結構難しいタスクだし、どうしても制限時間よりかかってしまう」と言って、超過した分も請求できないか交渉してきました。インド人は商売上手というイメージ通りで、そのメッセージを読んだ時には何となくにやりとしてしまいました。もちろん断りましたが。

英語は、文章でのやりとりでも「インド英語」という感じで、時制が適当だったり文法の間違いとかも結構目につきました。(私自身も、大したレベルではないのですが。)ただ、これは教育レベルにも寄ると思うので、高時給の人であれば、ちゃんとした英語のやり取りが出来るのでは無いかと思われます。

いずれにしても、コミュニケーションが難しい、というレベルでは無かったので、問題はありませんでした。

ロシア人

1人だけですが、丁寧な印象です。ロシア人に対する勝手なステレオタイプで、寡黙で余計なことを言わないみたいなのがありますが(プーチン大統領のイメージ)、そのイメージ通り?丁寧ですが、余計なことはあまり話さない感じでした。

英語は、文法がしっかりしていて、読みやすかったです。

ロシアは、原油価格の低迷やクリミア紛争以降の経済制裁などにより、経済状況はあまり良くないという話も、そのロシア人から聞きました。雇う方としては、比較的安い金額で雇えますが、ロシア国外に移住する方も多いようです。詳しくは、以下のリンクをご参照下さい。

ロシアの労働市場及び経済状況を簡単に – もばらぶん

アメリカ人

アメリカは当然、経済的にも恵まれていますので、インド人などに比べると Upwork で仕事を受けるメリットは少ないかもしれません。Upwork で仕事を受けているアメリカ人は、以下のような方が多いようです。

  • 翻訳、校正など、英語を活かした職種
  • 本業のスキルを活かした副業

日本人にとって、アメリカ人は比較的馴染みが深いので、働く上であまりギャップはありませんでした。ただ、やはり曖昧な言い方などは避けて誤解を招かないように気をつける必要はあります。

今後の働き方はどうなる?

技術者として(カビの生えた議論のおさらい)

散々言われつくされた事ですが、単純なタスクは安い人件費の人にどんどん置き換わる傾向にあるでしょう。日本語しか話せないドメスティックな会社でさえも、CrowdWorks などで地方の安い人件費の人に仕事を発注することで、仕事のやり方が大きく変わったところも多いかと思います。それに加え、最近の若い世代は、語学に堪能な方が多く、海外に拠点を作ったり Upwork などを使って海外にアウトソースをするという流れも止まらないでしょう。

色んな所でされている議論をなぞることはしませんが、今後の日本人技術者の方向として

  • 特定の領域に特化した専門家になる
  • ビジネス側(所謂上流)に向かっていって、発注側になる

というのがあると言われています。

ハイブリッドはどうだろう

ちょっと単純化した言い方になってしまいますが、所謂SIerとかでは後者の上流に向かうという方向性を突き詰めているのですが、技術・実装を理解しない人が設計や発注を担当することによる弊害は散々言われていると思います。

また、一つの技術を突き詰める、というのも相当しんどい作業ではないでしょうか。

ここ最近、色々な仕事をすることにより、何か一つの技術に特化するでもなく、かと言って完全にビジネス側になるわけでもないハイブリッドタイプってのも選択肢なのではないか、と思い始めてます。その際にもクラウドソーシングをうまく使いこなすのが武器になると考えています。

少し唐突ではありますが、ここで自分自身が技術を知っていることによるメリットを挙げてみます。

  • 指示・発注がかなりスムーズになる
  • 成果物の質を判断出来る
  • 何かあったら自分で作業することでリカバリーがきく

では、その為には膨大な勉強をして、世界中の技術者と競争する必要があるのでしょうか。私は、必ずしもそうではないと考えています。

まずは、少しだけビジネス側の立ち位置に立って、ビジネスの文脈を少し理解できるようになる必要があると思います。ここまでは今までの「上流側へ」という意見と同じです。

次に、その後で発注側になったときに、そこからどんどんITコンサルタントのようなビジネス側の領域に進むのではなく、中間の立場に留まってみるのが、世界中の技術者との競争を避ける・あるいは勝ち抜く第3の選択肢だと考えています。

どうしてでしょうか。フリーランサーから上がってきた成果物は、実際のビジネス課題を解決するプログラムの実例です。そこから勉強することにより、実世界で役に立たないようなサンプルプログラムなどではなく、業務で実際に役に立つ知識を吸収することが出来ます。

どんな技術も、最初の山を超えるまでが結構たいへんです。そこまでは、他人(=フリーランサー)にやってもらい、その後にそれを効率的に学んで自分で出来るようになっておくと、格段に仕事の幅が広がります。

まとめ

ちょっと長くなってしまいましたが、Upwork の凄さ、及びそれを活用することによる様々なメリットを理解して頂けたのでは無いかと思います。

質問・仕事の依頼などは、本記事へのコメントか、 info あっと mobalab どっと net までお願いします。

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