アイキャッチ画像は、「自宅で犬と戯れながら、タブレットを使って簡単に社内システムを構築している」イメージです。AI 生成画像に飽きてきたのでフリー画像を拾ってきました。さて本題です。
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システム vs. 業務
システムに業務を合わせる海外 vs. 業務にシステムを合わせる日本?
IT 業界にそれなりの年数を籍を置いていた人にとって、以前はよくこんな話を耳にしたことと思います。
- (主語がでかいですが)海外企業はシステムに業務を合わせる
- パッケージ製品を導入しベストプラクティスに従う
- カスタマイズは極力しない
- 日本企業は業務にシステムを合わせる
- 業務の効率化、改善より、自社の業務に合わせたシステム開発を好む
私は海外企業の実情というのを肌感覚として持っているわけではないのですが、日本企業に関する部分については全般的な傾向としては概ね正しいだろうと思っています。
なぜシステムに合わせるのが合理的と言われていたか
冒頭の話ですが、大体は「海外企業のように業務をシステムに合わせるやり方の方が合理的」というような文脈で語られてきました。理由としては
- パッケージのカスタマイズは高額、保守も高額になる
- カスタマイズするとバージョンアップ等の対応もしにくくなる
- 独自システムの構築も高額
といったのが主なものです。
システム構築・カスタマイズ=高額という前提が崩れた
ところが2025年くらいからこうした違いは崩れつつあります。言うまでもなく AI の影響です。システム構築の費用が大幅に下がったため、独自の社内システム構築のハードルが大きく下がりました。
社内システムが簡単に作れるようになった現状を眺めてみる
ここから先は、主に中小企業に限定して話を進めます。
どのようなシステムを内製しているか
システム構築の費用が大きく下がったからと言って、当然ながら何でもかんでも内製しているわけではありません。大企業であれば ERP のようなものは引き続き SAP のような商用製品を使う事が多いでしょうし、中小企業も会計システムとかはマネーフォワード、freee 等の SaaS を使う事が一般的でしょう。
内製が増えているのはそうした基幹システムではなく、その周辺が多いようです。どこまでを基幹システム、どこからが周辺システムというのは画一的な線引きがあるわけではありませんが、
- ダッシュボード、レポート等、情報を抽出・整形するもの
- 特定のワークフローに特化したデータ入力、承認画面
- 製品間のデータを連携
といった、既存のシステムでは痒いところに手が届かなかったものを内製するのは企業規模を問いませんが、中小企業の場合はそれに加えて
- 既存製品・SaaS が機能過剰、高額なもの
といったものを多く内製するようになっています。
もばらぶでも、経理・事務関連ではマネーフォワード、SmartHR を使っていますが、CRM やお客様サポートなどは、専用の SaaS を導入するほどのボリュームもないため、スプレッドシートやチケット管理システムなどで代用しています。ただ、今後は自社でシステムをサクッと作って使っていこうかと思っています。
どのように作っているのか
もばらぶはソフトウェア開発会社なので自前で大抵のものは作れますが、通常の中小企業の場合、以前であればノーコードツールが定番でした。日本では kintone、海外では Microsoft Power Apps, Google AppSheet, Zoho Creator, Airtable などがあります。
現在は、ノーコードツールだけでなく、AI コーディングエージェントを使ったフルスクラッチ開発も増えています。とはいっても、保守面を考えてインフラは PaaS を使う事が一般的です。
今後発生する問題
野良 Excel 問題 2.0: 管理されていないシステムが乱立する
非 IT 企業で働いたことがある人であれば、「野良 Excel 問題」は身近だと思います。Excel という高機能なツールによって、既存製品が出来ない部分・独自ワークフローを実装し(そのこと自体は問題無いですが)、それが管理されずに乱立していく、という問題です。
AI によって作られた内製システムでも同様なことが起こると思います。ソフトウェア企業であればソフトウェアの管理は業務の一環ですが、通常の企業にはソフトウェア管理のノウハウがあまりありません。よって
- 仕様が分からない
- 最新バージョンがどこにあるかが分からない
- 修正の仕方が分からない
というシステムが増えていくはずです。
宣伝: もばらぶでは仕様書が無い、ソースコードも管理されていない、といったシステムを引き継いで適切に管理する・修正していく、というのを得意としています。ご興味のある方は以下のページもご参照ください。
データが分散する
内製システムが増える事により、同じようなデータを持つシステムが複数出てきます。それにより
- どのデータが正なのかが分からない
- システム間でデータに違いがあり、それらの同期も出来ない
といった問題が出てきます。
これは前項と近いですがシステム開発を外注したとしても発生しうる問題で、組織内の横の繋がりが弱いと発生しやすいです。
対策としては、情シス部門等が部署横断的に関わっていく、というのが一般的かと思います。ただ、中小企業ではそうした専門の部署がないところも多いと思いますので、そうした際には外注なども検討してみてください。
宣伝: もばらぶでは、中小企業に適した(大がかりになりすぎない)システム統合などを提案できます。以下のお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
セキュリティ
野良 Excel は管理面の問題はありつつも、出来る事に限りがあるため、セキュリティの問題は情報漏洩などが主だったように思います。
一方、AI によってウェブシステムなどを内製する場合は、通常のシステム開発と同様にセキュリティを考慮する必要がありますが、非エンジニアが AI を使ってシステム構築を行う場合はその辺が甘くなりがちです。
もちろん、「AI がセキュリティを考慮した開発を行わない」という訳ではなく、実際には AI は平均的なエンジニアよりもセキュリティを考慮した実装を行ってくれます。問題は一般的なセキュリティ対策ではなく、
- 情報の公開範囲をどこまでにするか
- どのような情報を収集する・しないのか
- 等々
といった個別のシステム毎に正解が異なる問題で、こうしたものは人間が決断を下す必要があります。そして、そうした判断にはエンジニアとしてそれなりの経験が求められます。
宣伝: もばらぶでは(略)
今後起きそうなこと(問題以外)
サービス選定にあたり API、MCP を使った接続性がより重視される
既存のサービスで出来る事は既存のものに任せ、出来ない事は内製する、という流れになった場合に重要となるのが、外部からの接続性です。API を外部に提供して他システムと連携出来るようなサービスが重要になるといった話は以前から言われていましたが、AI 時代はそれが一層顕著になるはずです。
現状でも API を提供しているサービスは多いですが、(言い方は悪いですが)とりあえず API を形だけ提供しているだけで利便性が低い、といったサービスも多く見受けられます。特に、開発リソースが不足しがちな中小ベンダーに多いですが、名の通った大手のサービスでもそうしたものは普通にあります。
今後接続性がより重視されるにつれ、そうしたサービスはユーザーからの評価が下がる事が予想されます。
それに加えて、MCP も重要な要素となってきます。API と MCP のどちらを使うかの一番の判断基準としては、「AI による処理・判断が必要か」だと考えていますが、今後 AI による判断が必要な業務のシステム化・自動化が進むにつれて、そのサービスが MCP サーバーを提供しているかどうか、というのも選択の際の重要な基準となってきます。
ちなみに、AI による判断が必要な業務の例として、以前以下のような記事を書きました。チケット管理システム内にあるチケットに対して返信等の対応が必要かどうかを判断するには、チケットのステータスを見るといった機械的なルールによる対応でも8割くらいは拾えるかもしれませんが、2割の漏れが結構大事になったりしがちです。それに対して AI による判断であれば、100%とは言いませんが95%くらいは正しい判断をしてくれます。
個人で使う便利ツール系のサービスは需要が減る
私は昔からの惰性で Toggl Track という作業時間を計るサービスを使っています。
Toggl Track: Time Tracking Software for Any Workflow
色々な機能があるようですが、私の使い方としては
- 作業の開始時と終了時にボタンを押し、作業時間を計測
- 作業内容(テキストボックス1行)とプロジェクト名(選択式)も保存できる
- たまに、週単位・月単位でのプロジェクト毎の作業時間を集計する
くらいのものです。機能的にはあまり不満は感じていないのですが、最近は画面のレスポンスが遅かったりといった不満もあります。
そうした場合に、こうしたシンプルなツールは、
「不便だし、AI を使ってサクッと自分用のツールを作ろう」
と言われる事が多くなるはずです。
データ・システムの管理が重要になる
自前システムが増え、既製サービスも含めてそれらが連携する事が増えるにつれ、データやシステムをどう管理するのかというのが重要になってきます。権限管理や監査ログなどです。
宣伝: もばらぶで開発している(本当にもうすぐリリースします!) MCP ゲートウェイサービス Bloque でも、管理面の機能を拡充中です。といっても、大企業が使うような重厚長大で高額なものではなく、手頃な価格でそれなりの管理機能を持つ、というコンセプトで進めています。これについては別途記事を書きます。
まとめ
AI によってソフトウェア・サービスが簡単に作れるようになりました。とはいえ物事には何事も表裏があり、便利になった反面、今後は管理面やセキュリティの問題点も出てくるでしょう。
また、内製システムは既存サービスでは埋められない隙間を埋めるものが中心となると思います。その際に重要になるのは API や MCP による接続性です。
そして、各種システムが多く接続されるようになると、管理・監査関連の要件が増えてくるため、その辺に対応したサービスの需要が高まると思われます。
宣伝: もばらぶでは、内製システムや AI 開発の問題点に対して、多様な視点・豊富な経験に根ざした幅広い選択肢をご提案できます。以下のお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。

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