今回は珍しくマネジメントに関する話です。
会社の業績・個人の業績などの評価をする場合に、
- 結果で判断する
- 過程を(あるいは、過程「も」)見る
という方法があると思いますが、どちらが良いのでしょうか。
個人的な結論を先に書くと、結果と過程の両方見るのが正解かなと最近は思っていますが、なぜそう思うのか、などについて書いてみます。
過程も重視する理由
会社・個人の目的との整合性
会社というのは、究極的にはお金を稼ぐのが目的です。では何のためにお金を稼ぐのかというと、それは会社の理念に関わってくるところかなと思います。
(表向きの理念はさておき実際には)従業員や経営者をお金持ちにする事だけが目的の会社でしたら、倫理的に正しくない事をしたり、あるいは法の隙間を付いたりとか、どんな手段を使ってでも利益を上げるのが目的に適っていると思います。
他方、(当社も含めて)多くの会社は、自社の経済活動を通じて社会をより良くしたいと考えているはずです。そうした会社の目的(≒正しいこと)を実現する過程で、その理念に反して悪いことをするとしたら、その会社の存在意義は無いに等しいと思います。
個人の場合は少し話は異なり、仕事は単にお金を稼ぐ手段で、個人としては趣味を楽しみたい・贅沢をしたいという人も多く、それは全く悪いことでは無いと思います。
ですが、同じお金を稼ぐのであれば、自分の子供・家族・友人に胸を張って説明出来る仕事をしたいと考える人が多いと思います。例えば、同じ携帯販売の仕事でも、
- 知識の少ないお年寄り相手に、使わないオプションを沢山つけて契約する
- 事前にお客様にプラン・オプションを分かりやすく説明して納得して契約してもらう
という2つの仕事のやり方があり、どちらも年収500万を得られるのであれば、後者を選ぶ人が殆どでしょう。
良い過程が良い結果を生むことが多い
もう一つ重要な点として、良い過程を踏んでいると良い結果を生むことが多いというのがあります。特に、長期的に考えると一層そう言えると思います。
例えば SEO の話ですが、検索エンジン側の裏を突いた施策で検索順位で1番を取ったとしても、検索エンジン側に対策されればすぐに順位は下がりますし、むしろペナルティをうける可能性もあります。
一方、コンテンツを充実させて、ナビゲーションを分かりやすくして、といった王道の・正しい施策は、成果が出るまで時間がかかるかもしれませんが、一度成果が出てくれば検索エンジン側の仕様変更などに強く、長期的に見て良い結果になります。
こうした話は枚挙に暇がなく、皆さんでも思い当たる話はいくつもあると思います。
実際の話
ここまでは一般論でしたが、それを実際にやろうとすると、色々難しい事があるとも感じています。
どういった結果を評価すべきか
陸上選手とかであれば、結果の評価は簡単です。タイムが速ければ良い、などです。
では、サッカー選手ではどうでしょうか。フォワードであれば得点が分かりやすい指標だと思いますが、岡崎慎司選手のように、(得点数はそれほどでもなくても)前線での守備を頑張って中盤やディフェンスの負担を減らす、というのは評価に値しないのでしょうか。
あるいは、三浦知良選手はしばらく(1年以上?)得点を挙げていませんが、試合に出場するとメディアが取り上げてくれますし、お客も呼べます。また、練習に臨む姿勢などで後輩のお手本となっているようです。こういうのはどう評価すれば良いでしょうか。
結果がはっきり出るスポーツですら、評価がそこまで単純で無い事のであれば、ソフトウェア開発の仕事も、結果の評価が難しいというのが分かってもらえるかと思います。
どういった過程が良い結果を生むのか
良い過程を踏むと良い結果になりやすいという話をしましたが、良い過程というのは何でしょうか。これもなかなか難しい問題だと思います。
ベストプラクティス的なものがある分野であれば、それに従っているかどうか、という方法もありますが、問題はその「ベストプラクティス」が、実はあまり良い効果をもたらさないことが後から分かる、というのは良くあります。
また、あるベストプラクティスが万能に使えることはなく、限られた状況でしか使えないことが大半ですし、また別のベストプラクティスと矛盾していることも良くあります。
どうしているのか
結局のところ、身も蓋もない話ですが、評価基準というのは会社の理念・文化などによって決める・決まってくるのでは無いかなと思います。
当社は(今のところ)小さなソフトウェア開発会社ですので、1人で色んな作業を出来なる必要があります。従って、
- 少なくとも2つ以上の技術・分野にそれなりに詳しいこと
を求めています。また、そういう状態になるためにも、
- ある分野に詳しい人が、他の人にその知識を教えること
を高く評価しています。
唐突ですが、当社の理念は
「働く場所・時間帯を、働く人が自由に選べるような社会にする」
なのですが、仕事上である人しか分からない分野があると、その人が自由に休みを取ったりすることが出来ず、働く時間帯を自由に選べない状態になってしまいます。そうした観点からも、他人に知識を教える事を重視しています。
もう少し広い話としては、会社が成長するためには、今の仕事の質を高めると共に、新しい収益の核を作る必要があると思ってます。そのため、
- 新しいことに挑戦すること
にも価値があると考えています。
結果と経過の話で言うと、経過も重視していることは一番最初に書いた通りですので、
- プロセスに従うこと
は重要だと考えています。一方、プロセスが硬直化してしまっては本末転倒ですので、
- プロセスを改善すること、その提案すること
も価値があることだと思います。
まとめ
仕事は結果を出すことが重要ですが、会社の理念に反するやり方をして結果を出すというのは会社の存在意義に関わります。
また、結果を出すためには経過も重要です。ですが、良い結果・良い経過というのは、絶対的な基準では無くて相対的なもの、状況によって変わるものだと思います。従って、最終的には会社の理念・文化によって規定されるものだと思います。
当社で重視している点のいくつかは本文中に書きましたが、いずれも当社の状況に即した・理念に沿ったものであると思います。
コメントを残す