知り合いから勧められて「発注ナビ」というサービスを使っていたのですが、弊社のような中小開発企業には向いていないと思ったので、感想などを記載します。

システム開発会社やアプリ開発会社を探すなら比較・見積もりの【発注ナビ】

発注ナビとは

仕組み

発注ナビを簡単に説明すると、以下の2者を発注ナビの中の人が手動でマッチングするサービスです。

  • システム開発を発注したい会社(顧客企業)
  • システム開発を行いたい会社(開発企業)

プロセスとしては大雑把に以下の通りです。

  1. 顧客企業が発注したい案件の内容を発注ナビに伝える
  2. 発注ナビが案件を開発企業全体に公開する
  3. 案件受注を希望する開発企業が応募する
  4. 発注ナビが、3で希望してきた企業から5社程度(※)選んで、顧客企業に5社の情報・連絡先などを伝える
  5. 顧客企業が開発企業と個別に連絡を取り、(通常は)1社に対して発注する

※5社の場合が多いですが、6社の場合とかもあるようです。

料金

料金は以下の通りです。

  • 顧客企業は無料
  • 開発企業はチケット、上述の4で5社に選ばれた際にチケット消化
    • 弊社の場合は1チケット9万円

料金はWebサイト上では公開されていませんが、弊社の場合は1チケット9万円で、確か5チケット45万円で契約したと思います。また、色んなプランがあるようです。(契約前に頂いた提案資料に記載されていました。)

中小企業に向いていない点

開発企業が多いため、選ばれない

発注ナビに登録しているシステム開発会社は2,000社を超えているそうです。そのせいか、上述の手順3で案件に応募しても、そもそも選ばれる確率が少ないです。

弊社では、むやみに応募するのでは無く、弊社の強みが活かせそうな案件に絞って応募していますが、それでも選ばれる確率は10%未満だと思います(回数を細かく数えた訳ではないですが)。

応募メール作成の手間を考えると、時間の割にメリットが少ないです。

選ばれる=顧客に提案出来る、ではない

高倍率を通過して、5社の中の1社に選ばれたとしても(上述の手順4)、必ずしも顧客企業への提案の場が得られる訳ではありません

発注ナビがやることは、開発企業の情報を顧客企業に開示することだけです。したがって、顧客企業としては、5社のうち良さそうな企業数社にまずは連絡をして、その中から1社を選ぶという事が多いものと推測します。

実際に、弊社では発注ナビ側に選ばれたにも関わらず、顧客企業から連絡が来なかったというケースがありました。それでも9万円のチケットが消化されます

弊社のような小規模の企業は、いかに技術力が高かろうと、顧客企業にとっては「零細企業」と認識され、仮に高倍率をくぐり抜けて5社に選ばれたとしても、顧客企業と商談が出来ず、9万円のチケットだけが消化されるということになります。

発注ナビが開発会社を把握していない

そもそも、発注ナビが個々の開発企業の強みを理解して、案件に適した開発企業数社を顧客企業に提案する、というのが本来あるべき姿だと思います。

ただ、以下の理由により、実態としてはそうなっていません。

  • 開発企業が2000社を超えている
  • 発注ナビは、開発企業のウェブサイトに記載されている事以外はほとんど把握していない

後者に関してですが、弊社に対して発注ナビ側から強み・弱み・過去の事例などのヒアリングなどが行われたことはありませんし、発注ナビは弊社のウェブサイトに記載されている事しか把握していないはずです。

そのため、弊社のように規模が小さいけど技術力が高い会社(と考えています)も、単なる零細企業として扱われます。

中小企業に関わらず良くない点

その他、企業規模にかかわらず良くないと思われる点をいくつか記載します。

安い案件が多い

顧客企業の予算が100万円未満の案件がかなり流れてきます。そうした案件に1チケット9万円を使って応募する気が起きません。

流れてくる案件の予算別の大まかな割合としては

  • 予算未定: 7割
  • 100万以下: 1割
  • 100万超、200万以下: 1割
  • 200万超: 1割

という感覚です。

発注ナビからのメールがスパム判定される

発注ナビからのメールは主に以下の2種類があります。

  • 案件情報(一斉メール)
  • 5社に選ばれた際などにシステムから送られてくるメール

このうち、後者がスパム判定されました。

発注ナビのシステムからメールを送信する際に、適切な設定が行われていないのが原因と思われます。

少し専門的な話になるのですが、パッとみた限り以下のような問題点がありました。

  • SPF などが設定されていない
  • メールの送信元が apache@hnavi01.hnavi.co.jp
  • X-Mailer に PHPMailer 5.2.22 (https://github.com/PHPMailer/PHPMailer) と記載されている

発注元の顧客企業が信頼できるか不明

弊社の事例ではありませんが、発注ナビ経由の案件で発注元企業が倒産してしまい、その開発企業が被害を受けたって事がありました。

開発企業が発注ナビに登録する際には審査はあるようですが、発注元の顧客企業に関しては審査は無さそうです。

発注ナビ経由の案件に限った話ではありませんが、新規顧客の開発案件の場合は契約条件などに気をつける必要があります。

まとめ

良くない点

発注ナビはコンセプトとしては良いサービスだと思いますが、実態としてはその良さが活かされていません。

開発企業にとっての問題点としては、競合が多く、中小企業にとっては商談までいける確率が非常に低いこと、また、商談に行けなくても金額が発生する場合があることです。

顧客企業にとっての問題点としては、開発企業が2000社を超えていて発注ナビ側で把握があまり出来ていないため、普通にネットで開発企業を検索するのとそこまで変わらないという点が挙げられます。

評判は良いみたいだが

ネットでの評判は良いみたいなので、ハマる企業にとっては良いサービスなのかもしれません。(ソフトウェア開発について全く分からない企業がシステムを発注したい場合とかでしょうか。)

ただ、弊社にとってはメリットの少ないサービスのため解約しようと思ったのですが、返金はされないようなので、とりあえず解約はせずにそのまま放置しています。

幸いチケットの有効期限は無いようなので、サービスが今後改善した時に再度使おうと思っています。