リモートワークが普及するにつれて、色々と制度なども変わっていくんだろうなぁと思わせる出来事が最近ありました。本記事では、その出来事についての説明と、それに関連して今後世の中がどうなっていくのかという点についての個人的な考えを書きます。

日本の最低賃金制度

都道府県によって最低賃金は異なる

最近、求人を出すに当たって、法律で定められた最低賃金(時間当たり)を調べていました。ご存知の方も多いかと思いますが、最低賃金は都道府県によって金額が大きく異なります。詳細は、以下の厚生労働省の以下のページをご参照下さい。

地域別最低賃金の全国一覧

千葉県の最低賃金は925円/時

当社は本社所在地が千葉県ですので、最低賃金は925円/時となります。東京都の1,013円/時よりは低いですが、沖縄県などの792円よりは高く、全国平均よりも少し上回るという状況です。

他の都道府県を見てみると、東京都、そして横浜・川崎を擁する神奈川県がそれぞれ1,013円と1,012円で頭一つ抜けており、大阪府がその次の964円です。千葉県は、埼玉県、愛知県とほぼ同じ金額で、その後に京都府の909円、兵庫県の900円が続きます。

リモートワークに合わない部分がある

千葉県の企業に他県の人が働いている

先ほど述べた通り、当社の場合は千葉県の925円/時という最低賃金が適用されるのですが、当社で働いている社員・パートのメンバーは、ほとんどが他都道府県の人です。千葉よりも最低賃金が高い東京都のメンバーもいれば、最低賃金の低い道府県のメンバーもいます。そうした県外の人にも、千葉県の最低賃金が適用されます

ここからも分かる通り、都道府県別の最低賃金というのは従来型の働き方を前提としていて、時代にそぐわない点も出てきていると思います。

新しい形のニアショアが出てくるかも

都道府県によって最低賃金、あるいは市場での平均的な賃金が異なる事を利用して、沖縄県や(福岡を除く)九州などに事業所を設置する「ニアショア」という事業形態も一般的です。労働集約的な業務であるコールセンターなどでよく見られます。

従来のニアショアは、賃金の低い県に事業所を設置して、その近辺の人達が通勤するというものでした。その一方、今後はそうした県で登記だけ行い実際の業務はリモートワークで行うという、新しい形のニアショアが出てくるかもしれません。

もちろん、ソフトウェア開発者のように供給が少ない人材であれば、給与が最低賃金近辺に設定されることはありませんが、スキルのあまり要らない仕事などでは最低時給での求人というのも十分考えられます。

働く側、特にリモートワーカーとしては

都道府県間の賃金差は、メリットはない

ここまで書いた話からすると、都道府県毎の最低賃金制度は、働く人、特にリモートワーカーにとってはあまりメリットはないと思います。(元々、都道府県によって企業側の収益力が大きく異なることを考慮した制度だと思います。)

物価の格差はメリットとなり得る

企業にとっては、同一国内の異なる地域での賃金格差を利用したニアショア、あるいは国毎の賃金格差を利用したオフショアというのは、コスト削減の手法でした。

一方、労働者側としては、地域や国による物価の差がメリットとなる場合もあります。

従来より、日本企業の海外駐在員は、給与は日本国内と同じかそれ以上(海外赴任手当などが付くことが多い)なのに対し、発展途上国の場合は物価は日本より安いことが多いため、海外に数年間赴任すると、一財産築ける事も多いようです。

それに加え、最近ではリモートワーカーが、国内の物価の安い地域、あるいは海外に一時的に住んで生活費を抑えるというのも徐々に一般化してきました。

リモートワーカー向けの海外ビザ制度も

そうしたリモートワーカー達は、従来であれば海外にビザ無しや観光ビザで滞在して、リモートワークで日本の会社の仕事をするという形でした。厳密に言うと法律的にはグレーなもの、現地の行政がそうした「旅行者」のリモートワークの実態を把握することは難しいため、実際に問題になることはほとんどありませんでした

ただ、昨年の新型コロナ以降、海外旅行者が激減しているのと、リモートワークをする人が増えてきたのが主な理由だと思いますが、世界中でいわゆる「デジタルノマドビザ」制度を導入する国が増えています。どういった制度かというと、一般的には以下のような内容です。

  • 半年〜2年程度滞在可能
  • 取得にあたり、一定金額以上の預金額あるいは収入の証明が必要
  • その国での就労は不可だが、リモートワークで他国の企業の仕事をすることは可能
    • 今まで法律的にグレーゾーンだった部分を明示的に許可

税制も変わっていきそう

今後はビザだけで無く、税制に関しても色々と変化していくと考えています。

今回の話題とは関係ありませんが、最近、OECD加盟国で法人税率の最低税率を設定すべきという議論がありました。今後、各国間で、税制に関して強調していくことがより増えていくことと思われます。

現状でも、CRS などといった税務情報共有の仕組みがありますが、今後はそうした仕組みがさらに発展して、複数カ国を拠点にしている人について

  • 税金の取りこぼし
  • 二重課税

などが起きにくくなっていくものと思われます。

まとめ

現状の各種制度は、従来型の働き方を前提としています。ただ、昨年の新型コロナを契機に、リモートワークが普及したりと、世間の働き方も大きく変わりました。

今後は、そうした状況を受けて、ビザ・税制などの各種制度が徐々に整備されていき、当社メンバーのような働き方の人も、何の心配なく海外で働けるようになっていくものと思われます。