昨年の新型コロナ流行以降、オンラインミーティングをする人・会社が激増したのは周知の通りです。

本投稿では、オンラインミーティングのためのツールを比較します。比較対象は以下の4つです。

  • Zoom
  • Microsoft Teams
  • Google Meat
  • Whereby

また、当社のような中小企業で使う事を想定した比較ですので、中〜大企業の方とは視点が異なる可能性はあります。

なお、先に書いておくと、当社では Whereby をメインで使っているため、Whereby 寄りの意見がもしかしたら少し多くなってしまうかもしれませんが、なるべく公平な視点で書こうと思います。

各ツールの概要

Zoom

オンラインミーティングと言えば Zoom という感じで、代名詞的な存在です。オンラインミーティングする=Zoomする、オンライン飲み=Zoom飲み、なんて使われ方もするくらいです。

サービスとしては、PC(Windows, macOS, Linux) やスマホ・タブレット(iOS, iPadOS, Android)に専用アプリをインストールして使用しますが、ブラウザーからも使用できます。

ホスト(ミーティングを主催する人)の場合は当然ユーザー登録が必要ですが、ゲスト(誰かが主催するミーティングに招待された人)の場合、ユーザー登録は不要で、ミーティング ID とパスコードがあればミーティングに参加可能です。通常は、送られてきたリンクをクリックするだけですが。

プランは無料を含めて4プランありますが、中小企業の場合は Basic か Pro が選択肢だと思いますので、それらを記載します。

  • Basic: 無料
    • 100人までのミーティング
    • ミーティングの長さは40分まで
  • Pro: 2000円/月/ライセンス(20,100円/年/ライセンス)
    • 100人までのミーティング
    • ミーティングの長さは30時間まで
    • レコーディング機能(1GB/ライセンス)
    • ミーティングのストリーミング配信

詳細は以下のページを参照して下さい。

Zoom Video Conferencing Plans & Pricing | Zoom – Zoom

Microsoft Teams

Microsoft Teams は Microsoft が出しているだけあって、Microsoft Office、Office 365 との親和性が高いのが特徴です。

こちらも Zoom と同様、PC(Windows, macOS, Linux)やスマホ(iOS, Android)に専用アプリをインストールするタイプです。

正確には、Zoom と同様でブラウザーでも使用できるようなのですが、Chrome、Chromium Edge 以外は、一部機能が使えない、あるいは全く使えません。

Get clients for Microsoft Teams – Microsoft Teams | Microsoft Docs

参加者は、ミーティング毎に発行されるランダムな URL にアクセスすることでミーティングに参加出来ます。

無料と Microsoft 365 に契約している場合で機能が違います。主な違いは以下の通りです。

  • 無料
    • 参加者100人まで
    • 最大60分まで
  • Microsoft 365: 6ドル/ユーザー/月(60ドル/ユーザー/年)
    • 参加者300人まで
    • 最大24時間まで
    • レコーディング機能あり

なお、実際には Microsoft 365 のプランによっても機能に違いはありますが、ここでは触れません。詳細は以下のページを参照。

Compare Microsoft Teams Online Options | Microsoft Teams

Google Meet

Google Meet は、全てブラウザ上で完結するサービスで、アプリのインストールは不要ですが、モバイル(Android, iOS, iPadOS)の場合はネイティブアプリもあります。

Microsoft Teams と同様で、無料と Google Workspace (G Suite、Google Apps から改名)を契約している場合で機能が違います。

  • 無料
    • 2人でのミーティングは最大24時間まで
    • 3人以上のミーティングは最大1時間まで
  • Google Workspace: 8ドル/ユーザー/月
    • 全てのミーティングが最大24時間まで

ただ、現在は新型コロナに関わる特別対応で、無料ユーザーでも有料プランと同様に3人以上のミーティングを最大24時間まで行う事が出来ます。

詳細は以下のページを参照。

Google Meet (formerly Hangouts Meet) Pricing

Whereby

Whereby も Google Meet と同様で、全てブラウザ上で完結するサービスで、アプリのインストールは不要です。

無料と有料でミーティングの長さなどに違いがあるのですが、正直なところ、以下のページを見ただけだと詳しくは分からないと思います。

Pricing | Whereby

Whereby の場合、small room(※1)と large room(※2、※3)という2つがありますが、プランによってそれらの数、制限時間が異なるようです。そして、それらは比較的頻繁に変わっている印象です。そして、つい最近の2021年5月10日にプランの大幅な改訂があったようです。

以下、2021年5月10日以降のプランの情報です。

  • Free
    • room を1つだけ持て、room のサイズ(2人まで/100人まで)は設定で変更可能
    • 2人までのミーティングは時間無制限
    • 3〜100人のミーティングは45分まで
  • Pro: 6.99ドル/ユーザー/月
    • 各ユーザー毎に room を1つ持てる
    • 全ての room は100人まで
    • 時間無制限
    • レコーディング機能
    • 独自ドメイン

※1: 現在は、Free plan のみ、small / large の区分があるようです
※2: 以前は Extra Large room あるいは XL room という名前でした
※3: 元々は12名までで、その後50名、100名と変化したようです

これ以外に「Business」もありますが、Pro と大体一緒なので、省略します。詳細は以下のページを参照して下さい。

Plans – Whereby Support Center

比較

対応しているハード・OS 等

Zoom は、主要な OS 全てに対応しているため、大抵の環境では使用可能です。またアプリの出来も良いと思います。また、ブラウザー版も主要ブラウザーに対応しています。

Microsoft Teams も主要 OS に対応していますが、Mac アプリの出来が良くないです(2021年5月14日現在)。Windows ユーザーがホストのミーティングに上手く接続出来ないという事象を複数回経験しています(接続先はそれぞれ別の相手、最新版の Mac アプリを使用)。

Microsoft は、以前 Skype を買収したのですが、Skype も Microsoft 買収以降は Mac での使い勝手が悪くなったので、Mac 版を重視しないというのは会社の方針なのかもしれません。

Google Meet、Whereby は、ブラウザ上で実行するタイプなので、PC、スマホ問わずに使用できます。Google Meet、Whereby いずれも、主要ブラウザーがサポートされています。

結論

Microsoft Teams 以外は、あまり環境を気にせず使える。Mac で Microsoft Teams を使う際には、Chrome を使う事を推奨。

他のツールとの連携

Microsoft Teams、Google Meet は、それぞれ Microsoft 365、Google Workspace との親和性が高く、連携して使いやすくなっています。Microsoft Teams は、それ以外にも多くのアプリとの連携も可能です。

Business Apps – Microsoft AppSource

Google Meet は、Google Workspace 以外との連携はあまり考慮されていないようです。

Zoom は、他のアプリとの連携が充実しています。

Integration Partners – Zoom

Whereby は、連携対象は限られています。

Integrations – Whereby Support Center

値段

「各ツールの概要」のところにそれぞれの値段を記載していますが、いずれもユーザー数に応じた課金体系です。ただ、Zoom だけは一番安いプランで 2000円/月/ユーザーなので、他と比べると倍以上します。

機能

機能的には(高いだけあって) Zoom が多機能です。Webinar などをやる方は Social Media Streaming 機能が使えますし、「Add-on Plans」という、追加料金での追加機能もあります。

Microsoft Teams、Google Meet は、それら自体としてはそこまで多機能ではありません。ただ、それぞれ Microsoft 365、Google Workspace の一機能という位置づけだと思うので、それらのオフィススイート全体で考えれば多機能だと思います。

Whereby は、ミーティングに特化したサービスで、必要最小限の機能しかありません。ただ、独自のサブドメインを使えるのは良いと思います。当社の場合ですと、各ユーザーが以下のような部屋を持っています。

https://mobalab.whereby.com/ユーザー名

似たような機能として、Zoom の場合は独自ドメインを使えます。

Associated domains – Zoom Help Center

結論: どれを使えば良いのか

以上を踏まえると、結論としては以下の通りです。

  • Microsoft 365 を既に使っている or 今後使うかも → Microsoft Teams
  • Google Workspace を既に使っているor 今後使うかも → Google Meet
  • Webinar とかもやりたい → Zoom
  • オンラインミーティングのみを安くやりたい → Whereby

その他の選択肢

LINE WORKS

今回、Zoom、Microsoft Teams、Google Meet、Whereby の4つを比較しましたが、それ以外に選択肢もいくつか紹介します。

日本の会社では LINE WORKS (ビジネス版LINE)を使っているところもチラホラみかけます。LINE WORKS は、当然ビデオチャットも使えます。値段は360円/ユーザー/月とお手頃です。

ただ、詳しく調べていませんが、LINE WORKS をインストールしている社内の人同士、あるいは社外の LINE ユーザーとのビデオチャットは出来ますが、社外の人で LINE アカウントを持っていない人(あるいはプライベートでのみ使っている人)とのビデオチャットは出来なさそうです。

利用料金 – LINE WORKS

ZOHO

ZOHO はインドの会社が作っているオフィススイートで、インド版 Google Workspace のようなものです。実は、当社もメールは ZOHO を使っています(※)。

ZOHO にもビデオミーティング機能があり、値段も300円/月/ユーザー〜とかなり安いです。

Zoho Meeting Pricing – Online Meeting Edition | Webinar Edition

ちなみに、ZOHO は、Google Workspace とは異なり、機能毎にお金がかかります。All in One プランもありますが、結構高いです。ZOHO は結構お勧めなので、機会があれば別途ブログを書こうと思います。

※: そもそも、当社では業務にメールをあまり使っていませんので、ZOHO を使っている社内メンバーも数人です

WebEx

10年くらい前までは、オンライン会議といえば Skype か WebEx だったように記憶しています。Cisco に買収されていますが、今でもサービスは継続しているようです。とは言え、値段的にも機能的にも、特にメリットは無いように思えます。

Cisco Webex のプランと価格

先行サービスが常に市場を取るわけでは無いという好例かもしれません。

余談

ついこの間まで、Whereby は圧倒的にお得だった

Whereby のプランが2021年春に大きく変わったと書きましたが、それ以前に契約している人は、以前のプラン・条件がそのまま継続しています。

実は当社も、2021年5月10日より前に Business プランを契約しているのですが、内容としては以下のような感じです。

  • ユーザー数に関わらず同じ金額
    • 各ユーザーが1つの small room (参加者数4人まで)を持つ
    • ミーティング時間の制限無し
  • 100人までのミーティングが出来る XL room (team room) の数によって金額が異なる
  • 合計の値段は5ドル+9.99ドル × 「XL room の数(1〜100)」

当社の場合、5人以上のミーティングをする事があまり無いので、XL room が1つだけのプランです。通常は会議主催者の個別の部屋を使い、たまに5人以上のミーティングをするときだけ、唯一の XL room を使うというやり方です。

これで月14.99ドルはお得すぎます。多分、あまり儲からないから、料金体系を変更したのだと思います。

このお得なサービスを多くの人に知って欲しいと思ってこのブログ記事を書き始めたのですが、書いている途中でプラン内容が変更になってしまいました。

とは言え、プラン改定後もそれなりにリーズナブルな価格ですので、十分選択肢としてアリだと思います。

今から選ぶなら?

では、仮に今から新たにビデオミーティングのサービスを選ばなければいけないとしたら、どれを選ぶのでしょうか。

当社でのビデオミーティングの用途としては以下の通りです。

  • 社内メンバー同士のプロジェクトミーティング(通常4人以下)
  • お客様との打ち合わせ、採用面接等(1対1が大半)
  • IT英語サービスのレッスン(講師と生徒の1対1)

1対1のミーティングが無料なのは、Google Meet と Whereby です。従って、1対1のミーティングが必要な人は、そのどちらかを使ってもらうのが良さそうですが、どちらを選ぶべきでしょうか。

Google Meet は Gmail アカウントが必要です。ただ、個人の Gmail アドレスを仕事に使いたくない人が多いと思うので、1対1のミーティング用途は Whereby の方が良さそうです。

次に3人以上のミーティングの場合ですが、選択肢は色々ありますが、値段を考えて ZOHO を試してみると思います。

おわりに

今回は4つのビデオミーティングツールをいくつかの観点から比較してみました。どれを使うべきかについては、上の方の「結論: どれを使えば良いのか」に記載しました。

オンラインミーティングのサービスはここで紹介した以外にも沢山ありますし、レッドオーシャンですが、今のところ認知度・機能で Zoom が一歩先を行っている印象があります。ただ、一世を風靡した Skype が、2021年現在ほとんど使われていないという例もありますし、今後も盤石かというとそうとも言えない気がします。

以上、結構長くなってしまいましたが、参考になったでしょうか。