3ヶ月くらい前の話ですが、読んで非常に共感できる記事がありました。
なぜ日本ではデザイナーの地位が上がらないのか? | freshtrax | デザイン会社 btrax ブログ
詳しくは本文を読んで頂きたいのですが、かなり大まかに要約すると
- 日本ではデザイナーの地位が低い
- 原因としては、企業、デザイナー自身、社会的な仕組み、それぞれにある
というところでしょうか。
本文中で特に共感できた・気になった点について、自分なりの意見を書きつつ、弊社の今後についても考えていこうと思います。
ビジネスの問題点
日本国内ではデザインがダメでもビジネスが成り立つ
一番最初に挙げられている「企業側の問題点 > 1. デザインを上手にお金に変換できていない」のが、日本でのデザイナーの地位が低い一番の原因だと思います。ただ、これは逆に考えると、
「日本国内ではデザインがダメでもビジネスが成り立つ」
という問題とも言えます。記事中の以下の項目がそれに関連した内容です。
- 「企業側の問題点 > 4. ユーザー体験を真剣に追求できていない」
- 「社会的仕組みの問題 > 4. ユーザーが我慢強い」
- 国土が狭いので、営業力でカバーできてしまう事が多い
日本国内でもデザインの重要性は認識されつつありますが、元記事が比較するサンフランシスコ近辺と比べると大きな差があるのも事実です。
海外展開とデザインは関係が深い
日本国内向けの多くのビジネスの場合、デザインを良くする動機がそこまで高くありません。前述の、「営業力でカバーできる」、「ユーザーが我慢強い」という点もありますが、
「デザインに投資しても期待される収益が高くない」
というのも大きな理由です。以下、元記事の「企業側の問題点 > 3. ビジネスをグローバルに展開していない」から引用します。
日本国内シェア100%は世界でのシェアの2%に到達しない。
そうなってくると、デザイン力を武器に勝負したところで、その”あがり”は知れている。
日本国内でデザインがいい製品・サービスの大半は、
- 海外展開しているもの
- 日本国内でも競争が厳しい分野のもの
なのは、そうした理由からだと思います。
他の問題もビジネスの問題に帰着する事が多い
結局、「日本国内ではデザインを必要とするビジネスが少なく、良いデザイナーに対する需要がそこまで高くない」というのが日本におけるデザイナーの待遇が良くない根本原因なのかなと思います。
元記事の以下のようなものがそれにあたります。
- 「企業側の問題点 > 5. デザイン“サービス”に対しての正当な対価を払う気がない」の後半部分
- 「デザイナー側の問題 > 1. デザインを安売りしすぎ」
その他の問題点
「日本国内ではデザインを必要とするビジネスが少なく、良いデザイナーに対する需要がそこまで高くない」のが多くの問題の根本原因ではないかと前項で書きましたが、元記事ではそれ以外の独立した問題もいくつか提起されていました。個人的に重要と思ったもにをいくつか挙げます。
教育の問題は大きいと思われる
効果的に優れたデザイナーを教育する仕組みがなく、デザイナー側でも時代の要請に応えられるスキルを身につけている人が少ないという問題提起がされていました。
- 「社会的仕組みの問題 > 1. 価値のあるデザイン教育がされていない」
- 「デザイナー側の問題 > 2. 時代に合わせたスキルを身につけていない」
狭い範囲での経験談になってしまいますが、周りのデザイナーの方々は
- 美大あるいはデザイン専門学校出身の、グラフィックデザインに寄っている
- 技術系出身で、HTML、CSS マークアップ、あるいは WordPress 等のソフトウェア技術に寄っている
というケースが多く、(こうしたスキルはそれはそれで必要なのですが、)それ以外の以下のような事をしたい場合になかなか適任者がいないと感じています。
- サービスを継続的に改善していきたい
- 自社ウェブサイトを機能的に設計したい
マインドの問題は、各自が変えるしかない
その他、以下のような問題なマインドの問題も指摘されていましたが、各自が考え方を変えるしかないのかなと思います。
- 「デザイナー側の問題 > 3. “好きを仕事”にしてる意識が高すぎる」
- 「デザイナー側の問題 > 5. プロとしてのビジネスディールができていない」
- 発注側が買いたたこうとする
弊社における問題点
次に、デザインに関連する弊社の問題点について書いていきます。
受託開発システムのデザインはお客様次第
ソフトウェアの受託開発では、デザインが求められることはそれほどありません。よくある仕事の流れとしては以下の2つが多いのですが、
- お客様が別途デザイン会社にデザインを依頼する
- お客様自身である程度画面レイアウトとかを決め、弊社側でそれに沿ってデザイン・マークアップを行う
どちらも共通点として、
「お客様側でデザインの重要性を把握していないと、良いデザインのシステムができあがらない」
という問題点があります。
前者の場合、デザイン会社の実力に左右する部分も大きいですが、そもそもお客様側でデザインの重要性を理解していないと、なんとなく見栄えのいいデザインが選択されてしまったりします。
後者に関しても、(例外はありますが)デザインの素人であるお客様側で画面レイアウトを決めているため、そこから先でデザインをいくら頑張っても限界がありますし、結果として、あまり高いデザインスキルが求められないという側面があります。
開発だけ、デザインだけ、では生き残れない
少し違った視点での話になりますが、同じ著者による以下の記事にある通り、web制作単体ではビジネスとして生き残りが難しくなっています。また、これとほぼ同じ議論がシステム開発にも当てはまります。
アメリカでWeb制作会社が存在出来ない5つの理由 | freshtrax | デザイン会社 btrax ブログ
生き残る方法としては
- 専門性をとことん突き詰める
- 価格競争する
- 他と組み合わせる(デザイン+○○、システム開発+○○)
などが考えられますが、元記事によると3で生き残っている会社が多いようです。
弊社は、客観的に見ると単なる零細ソフトウェア開発企業なので、現状は比較的うまくいっているものの、何かあるとすぐ吹き飛んでしまうという恐怖感は常にあります。従って、システム開発に加えて別の強みを持つ必要があると考えています。
弊社がやろうとしている事
現在、弊社では「システム開発」以外の強みをつけていこうとしているところです。以下それについて説明します。
デザインの最初の段階から開発に関わって行く
前述の通り、現状では弊社がデザインに関わる部分は限定的で、お客様側のデザインに対する理解に左右されるという問題点があります。
今後は、良いデザイナーを採用し、弊社内でデザインの能力を高め、システム・サービス構築の初期段階から積極的にデザインに関わっていけるようにしたいと考えています。
現状では、弊社のデザイン関連の実力はかなり低いのですが、その分やりがいがある目標だと感じています。
海外展開するお客様をサポートしていく
デザインが真に有効性を発揮するのは、スケールするビジネス≒海外に展開するビジネスの場合、という事を書きました。
現状では、弊社のお客様は全て日本国内の企業様で、国内向けのビジネスをしているところが大半ですが、今後は、海外展開していくお客様をサポートできるような体制・能力をつけていこうと考えています。
海外関連で弊社が比較的恵まれている点としては、海外在住の開発者がそれなりにいるというところだと思います。ただ、今後は開発だけでなく、ビジネス面でも海外とのつながりを太くして、海外展開をサポートできればと考えています。
おわりに
弊社では、高品質・適切な値段によるシステム開発に加えて、「優れたデザインの提案」と「海外展開のサポート」という強みをつけていこうと考えています。道のりは長いのですが、この投稿を見て「力を貸しても良い」という方がいましたら、是非ご連絡を頂ければと思います。
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