最近「SaaS の死」というキャッチーな言葉が話題になっています。私の意見としては SaaS はこれからも伸びていくと思ってますがそれはさておき、今回はそれに倣って「オフショア開発の死」という若干煽り気味のタイトルにしてみました。
Table of Contents
オフショア開発についておさらい
オフショア開発が何なのかについては知らない人はいないと思いますので、今回の話に関係する部分に絞って話します。
ビジネスモデル
国による開発者の賃金差を利用して利益を得ます。
今となっては日本もかなり安い部類の国になりましたが、発注側は日本企業、オフショア先をフィリピンとして例を挙げます。値段は全て架空のものです。
日本人開発者のコスト(給料に各種間接費を足したもの)は70万円/月、フィリピン人開発者のコストは40万円/月だとします。日本の開発会社に発注すると100万円/人月かかるのに対して、オフショア開発会社に発注すると60万円/人月で済みます。発注側にとってはコスト削減が出来ますし、受注側も利益はあります。
日本型オフショア開発では「ブリッジ SE」なる人を置くことが多い
なお、日本の企業向けのオフショア開発では、日本語でやり取り可能な「ブリッジ SE」という人を用意することが一般的で、その人のコストは一般的な開発メンバーよりは高いのですが、本題ではないので深入りしません。興味のある方は以下の記事をご覧ください。
オフショア開発の問題点
ハイコンテキストなやりとりは出来ない
ここはブリッジ SE がいない場合でも当てはまる話ではありますが、ブリッジ SE がいる場合の方が顕著なので、ブリッジ SE がいる前提で書きます。
上のブログ記事でも触れていますが、オフショア開発におけるコミュニケーションは以下の通りです。
発注側 <-> ブリッジ SE <-> オフショア開発者
ブリッジ SE を介すため、以下のような事が発生しやすいです。
- 指示の細かいニュアンスが失われる
- 意図、背景を正確に伝えるのが難しい、あるいは時間がかかる
所謂ハイコンテキストなコミュニケーションを行うのは難しいです。
そのため、指示を細かく・具体的にする必要がある
そのため、ハイコンテキストなコミュニケーションをしなくて済むように、発注側にて
- タスクを分割して、ローコンテキストなやり取りでタスクが完結するようにする
- ハイコンテキストなコミュニケーションが必要な重要部分は内製化、あるいは国内の開発会社を併用する
といった対策をしています。
以上の理由により、構造上、オフショア開発側ではあまり高度なことを行わず、高度なスキルを持ったエンジニアもそれほど必要ありません。
それ、生成 AI で出来るよ
現時点での生成 AI の課題の1つ=コンテキスト長
話は変わりますが、ここ1〜2年、開発も含めたビジネスの現場では生成 AI が話題です。現状でも生成 AI はかなり高性能になっていますが、課題の1つがコンテキスト長です。その課題を克服するために色々なやり方がありますが、生成 AI を使う側としては以下のような事を良くやっているかと思います。
- 課題を分割する
- 一般的な話に置き換えて生成 AI に説明する
なんか聞いたことがある話ですね。
オフショア開発でうまく出来るタスク=生成 AI が出来るタスク
そうです。オフショア開発を上手く回すため・ローコンテキストなコミュニケーションで業務が回るように、タスク分割などをしているのであれば、そうしたタスクはそのまま生成 AI に投げてもうまくいく可能性が高いです。
そして、コストとしては
オフショア開発の開発者>生成 AI
です。
- オフショア開発も生成 AI 開発もタスクの分割の手間がかかるのは一緒
- 技術的なスキルは、生成 AI もオフショア開発の平均的なエンジニアもあまり変わらない
- 金銭的なコストは生成 AI の方が圧倒的に安い
以上が、従来型のオフショア開発が死を迎えると考えている理由です。
今後どうなるか
ユーザー側での開発が増える
SaaS の死と根本としては同じ話ですが、今までオフショアに投げていたような簡単な開発は、生成 AI を使ってユーザー側で実施されることが増えるはずです。
上級開発者の需要が増える
数ヶ月くらい前に以下の記事を書きました。
今までは人数をかけて開発していたものが、少数の上級開発者+生成 AI で同じ事が出来るようになります。発注側としてはコスト削減になりますが、これが成立する条件は「上級開発者がいること」ですので、そうした上級開発者の需要は今まで以上に高くなります。
単純で付加価値の低い受託開発、オフショア開発に淘汰圧力がかかる
前の項の裏返しとなる話ですが、比較的単純な内容の開発を行っていた受託開発・オフショア開発会社には淘汰圧力がかかるはずです。
もばらぶではどうするか
オフショア・本社の開発チーム一体化
従来のオフショア開発は単純な・あるいはあまり重要でない部分の開発を外注する方法です。社内オフショア拠点だったとしても同じ話です。
実はこの構図には以前から気づいていて、前述の「日本版オフショア開発2.0とその先」の記事でも少し触れていますが、もばらぶでは元々日本人メンバーとオフショアメンバーが混在するプロジェクトを多くやってきました。(当然、従来の外注モデルのプロジェクトもありました。)
今後は、日本人メンバーとオフショアメンバーが1つのチームとして動くという方法をさらに進めていこうと取り組んでいるところです。
上級開発者を育てる
(採用ページを更新できていませんが、)現在、ソフトウェア開発者の採用は基本的には止めています。もちろん例外的に採用する場合もあるかもしれませんが。
理由としては上に書いたとおりで、ソフトウェア開発の現場が今までより少数精鋭になっていくからです。そのため、現在いるソフトウェア開発者の成長を促して、1人でも多く上級開発者に育てていきたいと考えています。
人間にしかできない泥臭い部分に力を入れる
以前のブログ記事から再掲しますが、今後ソフトウェア開発で必要とされる開発者は、
- 上級開発者
- エッセンシャルワーカー的な開発者(そこまで高度なスキルは必要無いが、人間が実際にやる必要がある仕事を行う開発者)
に二分されると考えています。
残念ながら、もばらぶの全ての開発者が上級開発者になれるわけではないと思います。ですが、そうした開発者でも、人間にしか出来ない仕事をやるという方向性で生き残れると考えています。会社としても、そうした仕事(その多くは泥臭い仕事だと思います)に力を入れていきたいです。
まとめ
生成 AI の発展によって、従来型のオフショア開発は死を迎えつつあると言えます。従来型のオフショア開発とは、比較的単純でローコンテキストな業務をオフショア側が請け負うというものです。
それに対して、もばらぶでは以下のような対応を考えて、一部はすでに実施しています。
- オフショアと本社の開発チームを一体化して、ハイコンテキストな開発にも対応する
- 生成 AI 時代に需要が増える上級開発者を育てる
- 人間にしか出来ない汚れ仕事にも力を入れる
もばらぶへの仕事のご相談等は、以下のリンク先よりお気軽にお問い合わせください。

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