年をとってきたせいか、一年が非常に早く感じる今日この頃です。本記事では2026年に会社をどうしていきたいかについて書いていきます。

今後をどうみているか

その前に、今後の世の中がどうなっていくのかについて現在思っている事を簡単に述べます。

インターネット革命と AI 革命

所謂インターネット革命と呼ばれる2000年代の諸々の出来事は体験しているのですが、当時はプログラマーとして会社員をやったりフリーランスになったりと自分の事で精一杯で、あまり世の中全体を見渡して考えたりはしていなかったように思えます。ただ、今振り返ってみると、PHP と MySQL ですごい単純なプログラムを作っただけで100万円近くもらえてたり、当時は小さな EC サイトだった楽天市場がグローバル企業になっていたり、色々と大きく世の中が動いていた時期だったと感じます。

言うまでもなく近年では AI が世の中で話題です。過大評価されている部分もあるとは感じるものの、インターネットと同じかそれ以上に今後の世の中を変えていくはずです。

ソフトウェアという観点から AI を見ると、大きく分けて以下の2つの話があると思います。

  • ソフトウェア(成果物)に AI が組み込まれる
  • ソフトウェア開発業務に AI が組み込まれる

また、それ以外にも AI で出来る事が増えた時に人間は何をするか、みたいな話もありますが、一旦それはおいておき(別の機会に書きたいと思います)、上の2つの観点それぞれについて見ていきます。

ソフトウェアに AI が組み込まれる

インターネット革命以降、ほぼ全てのソフトウェア・サービスはインターネットに接続されています。(もちろん例外もあります。)それと同様に、今後ほぼ全てのソフトウェア・サービスには、何らかの形で AI が組み込まれる事になると思います。

インターネット黎明期には、直接的にインターネット接続の恩恵を受けられないソフトウェアも当然あり、パッケージソフトも残っていましたが、2026年現在ではかなり駆逐されてしまったように思います。手元のパソコンにインストールされているソフトのうちインターネット接続がなくてもコア機能が動作するものは以下のものくらいでした。

  • エディタ、IDE
  • ファイル圧縮・解凍
  • 画像編集
  • LibreOffice

AI も同様で、現時点では「このソフトに AI は要らないだろ」と思うものでも、将来的には大半の製品に AI が組み込まれていくものと思われます。

ソフトウェア開発に AI が組み込まれる

ソフトウェア開発業務に AI を活用している会社は多いと思います。そもそも AI もソフトウェアであり、ソフトウェアエンジニアが AI を積極的に自分たちの業務に組み入れていくのは自然な流れです。

ただし色んな方が指摘している事ですが、現在のワークフローにそのまま AI を導入しても生産性の向上は限定的です。

インターネット革命の時も同様で、最初は既存のプロセスを徐々にインターネットを使って置き換えていきましたが、それだけでは限界があるため業務自体を見直しましょうという流れになりました。流行りの言葉で言うならば DX が大事という話になります。

全く同じ流れで、今後は AI を前提としたワークフローに組み直していく必要があります。

やる事1: AI を前提としたワークフローに置き換える

2026年は、業務を AI を前提としたワークフローに置き換えていきたいです。

難しい点

ただ、いきなり書いてしまうと、AI を前提としたワークフローに置き換えるというのは、言うは易く行うは難しです。理由は色々あるのですが、一番大きいのは仕事(ワーク)というのは自社内で完結しない事が多いからだと考えています。

もばらぶでは売上の大半を受託開発が占めています。受託開発での契約形態は大別すると以下の2つになります。

  • 請負契約: 納品したらX万円、納期が決まっている事が多い
  • 準委任契約: 1人月Y万円、あるいはZ円/時

本題と外れますが、契約形態に関して大分前に以下の記事を書きましたので、興味のある方はご覧ください。

請負契約は受注したスコープ内では比較的開発側の自由度が高い事が多いのですが、準委任契約ではお客様側のワークフローに組み込まれる事が多いため、AI を前提としたワークフローに置き換える事が出来ません。

また、いずれの場合も、開発側の速度が増したとしてもお客様側での受け入れ等がボトルネックとなる可能性があります。

ワークフローを刷新しやすい業務を増やす

前項で述べたとおり、受託開発、特に準委任契約は売上が安定しやすいという長所がある反面、お客様側のワークフローにかっちり組み込まれている場合にはワークフローの刷新が難しいという短所もあります。ここから導かれる結論としては、受託開発でも以下の形式のものを重視していく事で利益率を高められる可能性があるという事です。

  • 請負契約の案件
  • 準委任契約でも仕事の進め方の自由度が高い案件

また、開発のワークフローを自分たちで決められる、受託開発以外の自社製品・サービスでも売上が立つようにしていきたいです。

どういうワークフローに置き換えるか

では、具体的にはどのようなワークフローにすれば良いのでしょうか。これは世の中の IT 企業がどこも頭を悩ませているところですし、今のところ正解もベストプラクティスもない状況ですが、いくつか試したい案はあります。

  1. 人間は作業指示・レビューを中心に行い、実作業は AI に任せ、パイプライン数(並列度)を増やす。それにより、全体のスループットを増やす。
  2. AI の力を借りつつ人間がテストケースをキッチリ作り込み、テストに通るように AI に実装してもらう。テスト駆動開発(※)を極限まで進めた形。

※: 最初に仕様に沿ったテストケースを書き、そのテストケースに通るようなコードを実装、(その後それを洗練させていく、)というプロセスの開発手法

では、それをどうやって実現させれば良いのでしょうか。また、課題等は無いのでしょうか。

そのワークフローが機能する前提や課題

1については、1人の人間が並行して行うタスクの数が増えるため、タスクのコンテキストスイッチにより人間の効率が落ち、そこが全体のボトルネックとなる可能性があります。対策としては、

  • レビューの観点を事前に明確にする、ドキュメント等にコンテキストを外部化する
  • 関連するタスクをまとめてレビューするなど、コンテキストスイッチの幅を減らす

などが挙げられます。

また大前提として、依存関係がなく並行して実施可能なタスクが大量にある必要があります。そうした文脈からも、マイクロサービスアーキテクチャ(※)が今まで以上に注目されるのではないかと思います。

※: 限定された機能を持つ小さなサービス(=マイクロサービス)が協調して動作する事で1つの大きなシステムを構築するという設計手法

2については、システムが適切な大きさに分割されていないと適切(詳細は深入りしません)なテストケースが書きづらいという課題が1つ、そして適切なテストケースが書けないとテストには通るけど期待した動作をしないコードが生成されてしまう可能性が高まるという課題もあります。

また、1,2に共通する条件として、システム・タスクを適切な大きさに分割するために、比較的高い設計の知識が求められるというのもあります。

そのワークフローを実現するためのエンジニアとは

前回以下のような記事を書きました。

その後も色々考えたのですが、上の記事より短い言葉でまとめると

  • 現在のソフトウェア開発より抽象度の高い仕事ができる(要件定義・設計・プロジェクトの計画・管理)
    • 今までは別の職種の人がやっていた
  • AI が出してくる成果物の良し悪しを判断できる技術力(=AI 革命前のソフトウェア開発で必要とされていた知識・経験)がある
    • 今後も引き続き必要

という人が AI 時代に求められる「上級開発者」です。そして、上級開発者以外の開発者は

  • エッセンシャルワーカー的な開発者
  • 自分でプログラムを書く開発者=低レイヤー開発者
    • 現在で言えば、フレームワーク、ライブラリー、プログラム言語自体を開発している人達に相当

に収斂していくのではと考えています。

AI を前提としたワークフローという観点で言うと、必要なのはまずは「上級開発者」ですが、現状では AI にも諸々の欠点がありますので、それを補う「エッセンシャルワーカー的な開発者」も一定数必要となります。「低レイヤー開発者」は少数で良いですし、「上級開発者」が兼任する事も出来ると思います。

やる事2: AI が組み込まれたソフトウェアを開発する

2025年には AI 関連のソフトを2つリリースした

2025年には AI (RAG) に関連する以下の2つのソフトウェア・サービスをリリースしました。

2026年は MCP 関連サービスをリリース予定

それとは別で現在開発中のサービスがあり、(本当は2025年末にβ版を出したかったのですが)今月中にはデモ可能なものが出来る予定です。また、その後にα版として限られた人達にリリースしようと考えています。

詳細は別記事で書こうと思いますが、世の中で増え続けている MCP サーバーを一元管理してワークフロー自動化に組み込めるように、するというものです。

2026年はこのサービスを核にして、DX、SI の仕事を増やしていければと考えています。

まとめ

世間的に AI がブームです。バブル的な面ももちろんありますが、インターネット革命と同じかそれ以上の影響を世間に与えると私は考えています。

「乗るしかない、このビッグウェーブに」

という古いネットミームは、インターネットの次に起こったスマホブームの際に流行った言葉ですが、今は AI のビッグウェーブが来ています。もばらぶとしてはしっかりこのビッグウェーブに乗って、

  • 社内を AI を前提としたワークフローに置き換え、業務を効率化する
  • AI を活用したサービスをリリース

という2つの目標を達成したいと思います。

お仕事の依頼・相談、製品へのお問い合わせなどは、以下リンク先のフォームよりお願いいたします。

最後に補足すると、このビッグウェーブに乗らないという選択肢はほぼ無いと考えています。現状、ネットに繋がらないソフト・サービスがほとんどない、業務にネットを使っていない会社がほとんどない、というのと同じ話です。