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一般的な話
様々な負債
今回は負債について書いてみます。負債という単語の意味を知らない人はいないと思いますが、一応辞書から引用しておきます。
負債(ふさい)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 – goo国語辞書
- 他から金銭や物品を借りて、返済の義務を負うこと。また、その借りたもの。借金。債務。「—を抱える」
- 企業会計で、支払手形・買掛金・借入金のような法律上の債務と、期間損益計算上の費用配分の要請から計上される賞与引当金・退職給与引当金のような負債性引当金などを合計したもので、企業の総資本から自己資本を除いた部分。
1番目の意味は要するに借金ですが、具体的には
- 個人の借金
- 企業・団体等の借入金
- 政府の国債
などがあります。
※: 2番目は貸借対照表(バランスシート)における負債の定義であり、限定された場面でしか使われない単語なので今回は触れません。
また、辞書にない用法として
- 技術負債
- 睡眠負債
といった用語もあります。
もばらぶに関係のある企業の借入金とソフトウェアの技術的負債について、後の方で詳しく触れます。
返済の義務はあるのか
辞書には「返済の義務を負う」と書いていますが、何があろうとも全額返済する必要があるかというと、実務的にはそうとは限りません。
個人の借金は基本的には返すべきですが、返せない場合は自己破産も出来ますし、借金を残したまま死んだ場合には、相続人は相続放棄をする事も出来ます。企業の場合も似たようなもので、再建時には債務免除があるのが一般的です。
個人、企業の借金の場合はどちらも、基本的には完済を目指しつつも、どうしても返済が出来ない場合には返済を免除される場合がある、という仕組みです。
次に国債ですが、国債になるとそもそも完済を目指すという前提すら議論の余地があるところです。(本筋ではありませんので、詳しくは触れません。)
また、辞書的な意味での負債ではありませんが、睡眠負債などはそもそも返済が出来ない・しないように思えます。普段は6時間睡眠の人が仕事の締め切り直前に1日3時間睡眠を7日間続けたとして、締め切り直後の1~2日は9時間睡眠くらいはするかもしれませんが、それ以降は普段通り6時間睡眠に戻ると思います。
負債=悪なのか
負債=無条件で悪と考えている人もいるかと思いますが、良い面も多々あります。個人レベルの話ですと、住宅ローンがなければ自分の家を持つ事はかなり困難ですし、過去にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏で有名になったマイクロファイナンスがなければ、貧困から抜け出せなかった人も多くいたはずです。負債=悪では無い事が分かるかと思います。
企業における負債については、次の項で説明します。
企業の負債
企業が借金するメリット=事業成長を速められる
企業が借金するメリットとしては、基本的には「事業成長を速められる」の1点だと思います。
※: 中小企業の場合は、そこまで資金が必要ない時に借金する事で銀行との取引実績を作っておく事により、本当に資金が必要な時に借金しやすくするというメリットもあります
典型的なソフトウェア受託開発企業の場合、技術者の人数に売上・利益が比例します。仮に、技術者を雇う際には人材紹介会社に300万円を支払う必要がある場合を考えると、手元に300万円しかなければ1人しか採用できませんが、銀行から900万円を借りれば自己資金と合わせて1200万円となり、合計で4人採用できるため、売上・利益もそれぞれ4倍となります。
企業が借金すべき時
上の単純化した例では、借金して技術者を雇えば雇うほど売上・利益が増えますので、どの会社も借金をして企業規模を大きくするのが正解と思うかもしれませんが、実際には条件があります。
その条件とは、事業環境が今後も良くなる(か、少なくとも返済し終わるまでは悪化しない)見通しである事です。今回の例では、「技術者の人数に売上・利益が比例」する状況が当面続く、あるいは今後さらに利益が向上するのが見込まれる場合には、借金してでも事業規模を大きくした方が良いです。
完済を目指すのか
上の方で、企業の借金は「基本的には完済を目指しつつも、どうしても返済が出来ない場合には返済を免除される場合がある」と書きましたが、実は企業の場合は完済を目指さない場合も多いです。分かりやすい例を挙げるとソフトバンクなどがそうで、企業の成長とともに負債は増え続けています。
そうした企業では、借金をして事業を成長させた後、さらに別の借金をしてさらなる事業成長を目指す、という形をとっています。成長の機会がある限りは、永遠に借金をし続ける形です。
もばらぶではどうか
ソフトウェア開発事業
実は、もばらぶは無借金経営です。
もばらぶは、上述の「典型的なソフトウェア受託開発企業」に近いので、「技術者の人数に売上・利益が比例」に近い動きをします。従って、借金をしてでも事業規模を大きくした方が良さそうです。
それなのに借金をしていない理由として、「事業環境が今後も良くなる(か、少なくとも返済し終わるまでは悪化しない)見通し」でない、というのが1番大きな理由です。
ソフトウェア開発の需要は今後も伸び続けていくと思いますが、もばらぶは営業があまり強くない(というかウェブサイト経由・紹介以外で案件が来る事がほとんど無い)ため、技術者を増やしてもそれに比例して案件が増えない可能性が高いためです。
逆に言うと、営業力が向上して案件がひっきりなしに入ってくるようになったら、借金をしてでも技術者を増やすのかというと、そうでもありません。なぜかというと
- 人材紹介会社や有料求人媒体を使っていないので、採用にコストがあまりかかっておらず、借金は不要
- そもそも現金が手元にそれなりにある
- 急に人数を増やすと体制の整備が追いつかない
というの理由です。
とはいえ、営業力は課題だと思っていますので、今後向上させていきたいと考えています。
新規事業
また、新規事業への投資も、今のところは手元資金の範囲内で行っていますが、これも似たような理由です。やっている新規事業の成長が高い確率で見込める段階に至っていないからです。
今後、成長が見込めそうな「これは行ける!」という事業が見つかれば、借金をして成長を目指す事も考えられます。
まとめ
今回の記事では負債(=借金)の一般的な説明と、企業にとっての負債、そしてもばらぶの負債に関する状況・考え方について説明しました。
負債は必ずしも悪いものではなく、企業の成長にとって重要な要素のため、条件が整えばうまく活用すべきと考えています。もばらぶでは今のところ借り入れをした事はありませんが、成長が見込まれる場合には借り入れを(場合によってはそれ以外の資金調達も)うまく活用したいと考えています。
技術的負債についても書こうと思ったのですが、長くなってしまったので次回にしようと思います。
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追記: 技術的負債について書きました。
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