○○2.0、3.0、4.0って単語の走りはWeb 2.0だと思いますが、要は今までのやり方とは違うんだよっていう差別化、時にはマウンティングをするために便利な言葉です。

今回の記事では、過去に(もしかしたら今でも?)一般的だった日本版オフショア開発(1.0)を説明し、その後に、もばらぶを含めた一部の日本企業で最近行われているオフショア開発(2.0、※)について説明します。

※: 1.0とか2.0ってのは冗談で、本気でそう呼んでいるわけではありません。

従来一般的だった日本版オフショア開発

ブリッジ SE とは

日本版オフショア開発の一番の特徴としては「ブリッジ SE」あるいは「ブリッジエンジニア」の存在が挙げられます(以降はブリッジ SE で統一します)。

ブリッジ SE は何をする人かというと、主な責務としては以下の通りです。

  1. 通訳: 日本語を話す日本側の顧客と現地語(あるいは英語)を話す現地エンジニアの間のやりとりを仲介する
  2. PM 補佐: 現地エンジニアの進捗管理を行い、日本側に報告する
  3. 要件定義・設計: 日本側の顧客とともに要件定義・設計を行う

1, 2 は必須で、3はプロジェクト・会社などによって、やる場合とやらない場合があります。

ちなみに、「ブリッジ SE」や「ブリッジエンジニア」は、断言は出来ないのですが恐らく和製英語であり、日本版オフショア開発に固有の(少なくとも海外のオフショア開発ではあまり一般的ではない)概念だと思います。bridge engineer で検索すると、日本のサイトが多くヒットします。

ブリッジ SE の功罪

ブリッジ SE の良い点としては、(当然ですが)日本側の顧客企業は日本語で業務の依頼が出来る点です。

それに対して、良くない点もいくつか挙げられます。代表的なものは以下の2つです。

  • ブリッジ SE の質によってプロジェクトが大きく左右される
  • コミュニケーションのタイムラグや伝言ゲームが発生する可能性が高くなる

前者に関してですが、顧客側と開発側の間の全てのコミュニケーションはブリッジ SE を介す事になるのと、進捗管理などもブリッジ SE が行うため、その人の能力によってプロジェクトの成功確率が大きく異なってきます。ブリッジ SE が要件定義・設計なども行ってる場合は、開発中のシステムへの理解もあり能力的にも高い事が多いですが、通訳に毛が生えたレベルの人だったりすると大変です。

後者ですが、前述の通り全てのコミュニケーションはブリッジ SE を介すため、何かを問い合わせて返答が返ってくるまでに時間がかかったり、伝言ゲームが起きてしまう可能性が高まります。

正確に言うと、これらのデメリットはブリッジ SE がいるオフショア開発に限定した話ではなく、全てのやりとりを日本人の開発リーダーを通していて、かつその人の能力が低い場合などには、日本人の開発チーム相手でも発生する可能性があります。ただ、ブリッジ SE を介したオフショア開発の場合は、言語の変換という一手間がかかるため、日本人の開発チームに比べてそうしたデメリットが発生しやすいです。

契約形態

オフショア開発の契約形態としては

  • 請負契約
  • ラボ型契約

の2通りが一般的です。

前者は、事前に金額が決まっており、ソフトウェアを納品したらその金額が支払われるものです。後者は、開発チームを1ヶ月いくらで貸し切る形です。要は準委任契約ですが、前述の通り従来の日本版オフショア開発ではブリッジ SE の存在が必須ですので、ブリッジ SE +エンジニア数名のチームでの契約となります(※)。

※: 余談ですが「納品のない受託開発」とかと同じですね。

ちなみに、ソフトウェア開発の契約形態については以前ブログ記事を書きました。結構前なのでリンク切れが発生していますが、要旨はつかんでいただけるかと思います。

最近増えている日本版オフショア開発=グローバル版オフショア開発

英語でやりとりし、国内開発企業への外注と同様に進める

次に、最近増えている日本版オフショア開発について説明します。というか、最初に種明かしをすると、海外での一般的なオフショア開発のやり方を取り入れる日本の会社が増えているという話なのです。

簡単に言うと、顧客企業がオフショア開発企業と英語でやり取りをし、通常の国内開発企業への外注と同じように業務を行うというものです。

長所・短所は「ブリッジ SE の功罪」と正反対

この方法の長所・短所は、「ブリッジ SE の功罪」で指摘した点と全く反対となります。

短所としては、日本語でやりとりが出来ないため、発注側にある程度の英語力が無いと業務が効率的に進められません。少なくとも発注側の主要メンバーにはある程度の英語力が求められます。

長所としては、ブリッジ SE を介さず直接開発者とやりとりをする事が出来るため、コミュニケーションのタイムラグや伝言ゲームが発生しないのが1点です。また、ブリッジ SE というボトルネック・単一障害点(そこに問題が発生すると、システム全体が停止してしまう点)が存在しないため、プロジェクトのリスクが少なくなります。

オフショア開発以外でも増えている英語化

今までの話はオフショア開発企業に外注する話でしたが、自社サービス開発でも社内は英語でやりとりする企業が増えています。このモデルの嚆矢は楽天だと思いますが、以下の記事にあるように他の大手 IT サービス企業でも同じやり方をするところが増えています。

マネーフォワード・メルカリ、海外IT人材定着へ支援厚く – 日本経済新聞

もばらぶが提供できる事(宣伝)

ここからは宣伝 x 3 です。

従来型日本版オフショア開発とグローバル版オフショア開発のいいとこ取り

もばらぶで行っている受託開発では、日本人メンバーと外国人メンバーが混在しています。今のところ外国人メンバーの増加ペースの方が速いですが、(少なくとも当面の間は)日本人メンバーが少数派となる事はありません。

よって、お客様は他の開発会社へ外注するのと同様に、弊社の開発メンバーと日本語でやりとりする事が出来ます。そして、弊社開発チーム内では英語でやりとりをしています。

さて、今更の話ではありますが、オフショア開発の最大のメリットは価格面です。ただし、弊社のソフトウェア開発サービスは「適正価格」を謳っており、必ずしも低価格を意味するわけではありません。とはいえ、品質を考えると価格競争力があると考えております。

なお、弊社の海外メンバーは、以下の2点で給与を調整しています。

  • 居住地の物価
  • お客様の言語(=基本的には日本語)能力

従って、日本居住かつ日本語が話せてスキルが同程度のメンバーに比べると給与が低いのは事実ですが、現地の相場に比べると高いと思います。

IT エンジニア向け英会話サービス Moba Pro IT English

上述の楽天・メルカリ・マネーフォワードのように、外国人エンジニアを活用して自社開発を加速したい企業にとって、日本人エンジニアの英語力向上は成功の鍵を握ります。弊社が提供する IT エンジニア専用のオンライン英会話スクール Moba Pro IT English (モバプロ)は、

  • 日本人講師が
  • 日本人開発者に特化した教材で

レッスンを行うという特徴があります。主な対象としては、英語の読み書きはある程度出来るものの会話が苦手、という開発者です。実際に、弊社の開発メンバーで対象となるレベルのメンバーに対しては同じ内容でレッスンを行っております。

Moba Pro IT English | ITエンジニア専用のオンライン英会話スクール・モバプロ

海外進出支援

弊社では、今までにマレーシア・フィリピンに法人設立の経験があります(前者は開発拠点ではありませんが)。また、今のところ法人設立はしていませんが、カンボジアにも開発メンバーがおり、現地でのビジネスのつながりもあります。さらには、上述の通り海外メンバーも含めた効率的なソフトウェア開発を長年やっております。よって、

  • 開発リソースが足りないため、海外拠点を作って国外のエンジニアを採用したい
  • (国は問わず)オフショア開発拠点があるがうまく活用できていない

といった課題をお持ちの企業様に対して、弊社はお手伝いが可能だと考えております。

まとめ

従来の日本企業が行うオフショア開発では「ブリッジ SE」という通訳兼PLを現地に置く方式が一般的でしたが、この方式には短所もいくつかあります。それを踏まえ、最近では、日本企業も海外企業と同様にオフショア開発企業と英語でやりとりする会社が増えています。また、オフショア開発に限らず自社開発でも、海外メンバーを採用して社内は英語でやりとりする事例が増えています。

最近ではソフトウェア開発者の採用が難しくなっているため、日本に限定せずに海外にも目を向けないと良い開発者は採用できません。これはソフトウェア開発会社でも自社サービスを提供する会社でも同様です。

もばらぶでは、日本人と外国人メンバーをうまく組み合わせる事で、質が高くも価格競争力があるソフトウェア開発サービスを提供しています。また、社内開発メンバーに使用している英語教育レッスンをサービス化した Moba Pro IT English (モバプロ)という IT エンジニア専用のオンライン英語レッスンも提供しています。

開発リソース不足に悩むソフトウェア開発企業、自社サービス企業にとって、もばらぶは有益な価値を提供できると考えておりますので、ご興味のある方は以下のリンクよりお気軽にお問い合わせいただければと思います。

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